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⑵ 事業所との打ち合わせ まず指導員が事業所を訪問し,職務内容の説明を受けました。その後Aさんの障害特性や配慮事項について説明を行いました。説明の内容については事前にAさんと検討しました。Aさんは慣れない環境では疲れやすいことから,最初の1週目は10時から15時までの短時間とし,2週目は10時から17時まで,3週目は8時30から17時までのフルタイムと徐々に時間を延ばすことにしました。職務内容も訓練で実施している内容に近いものである名刺作成(データ入力業務)とファイリング業務となりました。⑶ 施設内での事前訓練整を行いました。 名刺作成では名前やメールアドレスなどミスなく入力しなければいけないため当機構が開発したデータ入力訓練用のソフトを活用し,入力速度の向上やミスをなくすための確認方法などを訓練しました。 また作業耐性面では,どの程度の時間で集中力が低下するのかを把握するため,作業時間とミスの発生の状況を観察しました。その結果45分連続して作業を行うと疲労から入力ミスが発生しやすいということがわかりました。そのため入力作業は45分行ったら5分程度の休憩を入れるようにしたところ,ミスは大幅に少なくなり,併せて疲労の蓄積も防ぐことができるようになりました。-18-⑷ 企業内訓練 企業内訓練の初日は指導員が同行し,再度仕事内容の説明をしていただきました。その後改めて障害特性や事前訓練で把握した内容について訓練生本人から説明をしたうえで作業に入りました。担当者から「疲れてない?」「まずは環境に慣れることが一番だよ」など声かけをしていただけたことから,本人も落ち着いて作業を進められていました。 2日目以降は,毎日終業時点でのメールによる報告と週1回の訪問を行っていましたが,本人からも事業所からも大きな課題点があがってくることはありませんでした。ただ,慣れない環境下での業務であることから,本人には徐々に精神的な疲労が蓄積していたようでしたが,週に1回指導員が訪問し,本人と話をすることで,本人の気持ちが少し楽になることがわかりました。事業所からも「こちらには言えないこともあるので話を聞いてあげてほしい」という要望がありました。技能的な面,体力的な面ともに企業内訓練を実施するうえで特に問題はなく,十分に職務を遂行できると評価をいただき採用となりました。 就職後のフォローアップとしては,初めは週1回のペースで電話や訪問により本人の話を聞くことで,本人,事業所双方に安心感を持ってもらえるようにしました。その後本人からの聞き取りについては徐々に事業所の担当者につなげていくことで,フォローアップの頻度も少なくしていきました。Aさんは現在でも同事業所で元気に働いています。3.2 製造業⑴ プロフィール Bさん,40代男性,高次脳機能障害,機械関連の職業訓練を受講。 就職活動を行っていくなかで,雇用を検討したいという事業所が見つかりました。当初,事業所ではトライアル雇用を検討されていましたが,体力面,技能面でBさん自身に不安があることを伝え,企業連携職業訓練について説明し,理解を得られたため,企業内訓練実施に向けた調整をすることとしました。図6 ミスをなくすための工夫技能と技術 2/2014

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