2/2014
16/48

 国立職業リハビリテーションセンター(以下「当センター」という)は,障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく「中央広域障害者職業センター」と職業能力開発促進法に基づく「中央障害者職業能力開発校」の2つの側面をもっています。厚生労働省により昭和54年に設置され,現在は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「当機構」という)が運営しています。 開設当初は,被災労働者を中心とした身体障害者を対象としていましたが,障害者の職業を通じた社会参加の拡大を背景に法律の改正が行われ,現在は身体障害者,知的障害者,発達障害者,精神障害者,高次脳機能障害者など就職を希望するすべての障害のある方に対して職業訓練等の職業リハビリテーションを行っています。 近年では,今までの職業訓練のように施設内で一般的な職業能力を付与する訓練だけでは,就職または就職後の定着が難しい訓練生が増加しています。そのなかでも精神障害者や発達障害者,高次脳機能障害者,重度視覚障害者,両上肢障害者など職業訓練上特別な支援を要する障害者(以下「特別支援障害者」という)が入所生の50%を占めるようになってきました。 特別支援障害者は,施設内での訓練で一定の技能や適応力を身に付けたとしても,就職活動をする際に,事業所側が今まで特別支援障害者を雇用した経技能と技術 2/2014験がないことや雇用した経験があっても以前に雇われた方がうまく適応できなかったことなどから敬遠されることが少なくなく,就職活動の障壁となっています。また,就職できたとしても急激に環境が変わることによって本人の精神的な負担が大きくなってしまい,結果として仕事を続けることができず退職する等,就職後の定着も大きな課題となっています。 そこで当機構では,平成21年度から新たに,特別支援障害者について,雇入れの可能性のある事業所の協力・連携のもとに,「特注型の訓練メニューに基づく企業内訓練と就業継続のための技術的支援の一体的実施による先導的職業訓練」(以下「企業連携職業訓練」という)を実施しています。 異なる就業環境下では業務の円滑・的確な遂行が困難となる訓練生や身体動作の制限が多く特別の機器・設備の下で職業訓練を行い,職業能力を身に付けることが必要な訓練生を対象に,特別支援障害者の雇入れを検討している事業所との密接な協力により,当センター内での訓練と企業内での訓練を組み合わせた特注型の職業訓練を実施し,就労に必要な技能の習得を図るとともに,企業の受け入れ環境を整えることで,委託先企業への就職・職場定着に資することを目的とした訓練です。国立職業リハビリテーションセンター金 裕美-14-1.はじめに2.企業連携職業訓練とは  障害者に対する職業訓練3特注型の訓練メニューに基づく職業訓練および就職支援に関する取り組みについて

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る