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継手形状実体母材SUS304 t3×50×150 1枚、t3×25×150 1枚1層目:棒添加なし。 2層目:TG-S308 φ1.6~2.0溶加材溶接方法TIG溶接溶接電流スライド運棒100~110A両コンタクト運棒120~130A棒・トーチ角度水平から40°~80°水平から40°~80°母材面45°母材面運棒方法進行方向スライド運棒前進法【タック溶接】●材料の変形をハンマーで修正する。●トーチを作業台に固定し、アーク長を縮めてタック溶接を行う。(図1)●タック溶接後は材料の間に隙間がないか、90度になっているかを  確認し問題があれば修正を行う。【共通事項】●溶接電流条件を確認する。●タングステン電極の突出し長さを設定する。(図2)   →ノズルを材料に固定し、トーチ角度を進行方向に対して90度で     継手部にタングステン電極を接触させる。溶接時のトーチ角度     に戻した際、タングステン電極が接触することなく最適なアーク長     となる。●メルトランの始端部・終端部の溶落ち・溶残しに十分注意する。   →溶加材を使用しないため、止まっていると始端部が溶落ちやすい。     材料始端から溶接を始めていない場合、溶残しが生じる。●溶融池(プール)を一定の幅に揃えることを意識して溶接を行う。   →溶融池(プール)幅が一定ではない場合、ビード幅は揃わない。●材料が溶接中にずれないように破材等を使用し固定する。   【スライド運棒】●ノズルを水平板に置き、同じ振り幅でメルトランを行う。   →手前に引く時には水平板のみに接触、奥に振る時には垂直板と     水平板2点にノズルを接触させる。(図3)●同じ振り幅でスライドさせメルトラン溶接を行う。   →統一できていない場合、ビード止端が揃わない。【両コンタクト運棒】●ノズルを材料に固定し、トーチキャップに向かってトーチを左右に振る。   →トーチを上下に振る運棒が多く見られ、前へ進めていない。トーチ    キャップに向けてトーチを振ることで前進が容易になる。(図4)※評価する点●スタート部・終端部に溶落ちや溶残しがないか。●ビード幅、脚長が揃っているか。●アンダーカットやオーバーラップはないか。●クレータ処理がしっかりと行われているか。●ルート部への溶込みは十分か。   →材料裏面の変色を見ると大体判断できる。●ピッチ幅は大体均一であるか。正しい動かし方間違った動かし方ノズル接触位置図4両コンタクト運棒溶接記号層数とパス数2層 (1層目 メルトラン)45°両コンタクト運棒前進法図1タック溶接箇所図2突出し長さの設定スライド運棒ノズル接触位置ビード形状例図3スライド運棒ビード形状例トーチキャップの方向に動かしていトーチを上下に動かしている。なかな図6 TIGアーク溶接(水平すみ肉溶接)教材例技能と技術 1/2014水平すみ肉溶接溶接上の留意点溶接材料溶接条件-30-⑴ 日本溶接協会出版委員会:「新版JIS手溶接受験の手引」産報出版株式会社(2009)⑵ 日本溶接協会広報出版委員会:「新版JIS半自動溶接受験の手引」産報出版株式会社(2012)⑶ ステンレス協会:「JISステンレス鋼溶接受験の手引」産報出版株式会社(2010)⑷ 社団法人溶接学会:「新版溶接・接合技術入門」産報出版株式会社(2012)⑸ 小林一清:「図でわかる溶接作業の実技」理工学社(2011)⑹ 野原英孝:「図解入門現場で役立つ溶接の知識と技術」株式会社秀和システム(2012)⑺ 中央労働災害防止協会:「アーク溶接等作業の安全」中央労働災害防止協会(2011)⑻ 中央労働災害防止協会:「グラインダ安全必携」中央労働災害防止協会(2012)述べてきた。実績は上記のとおりであるが,他施設で行われているOJTとは内容が大きく異なっていると考えられる。今回の報告が,各施設で行われるOJTの検討資料となれば幸いである。最後に,終始ご指導をいただいた塚本先生(現訓練第二課長),迫先生をはじめとする溶接施工科の先生方,管理職や事務の方々に厚くお礼を申し上げます。<参考文献>

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