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態にあります。この中にはフリーターになった人達が,社会不信や自信喪失からニートになった人も含まれていると思います。 さらに第8図をご覧ください。これは完全失業率の推移を示すものです。この中で注目すべきは,15歳から24歳までの年齢層の失業率の高さです。学校卒業と同時に就職しておきながら,就職後3年以内に離職する若者の多さが大きく関係しているに違いありません。 次代を担う成長期の若者たちがこのような状態に置かれることは,将来にわたる民度の向上を考えるとき,大変な社会問題であり社会的損失です。その結果,この世界トップクラスの豊かさにあるこの日本社会の中で,生活保護受給者数が戦後最大になり,その中に働く能力を持ちながら保護を受けている人が多数居るという異常事態を,私たちは真剣に考えなければなりません。 以上厚生労働省が提供するデータを見てきましたが,次代を担う若者達のこと,そして将来の日本のことを考えるとき,若者たちが学業を終えて最初に社会に出る,つまり就職の問題を真剣に考える必要があると考えます。私は若者達の就職活動には基本的な問題があると考えています。学生達の就職活動は間違っているとさえ思っています。しかしながら行動は間違っているものの悪いのは若者達ではなく,適切な指導を行っていない大人達に問題があると考えています。なんといっても若者達にとって,本格的な就職は初めてであり,自分で生きる人生も初めてです。初なのです。安易な進学をする若者が増え,社会への関心は薄く,人生を考えることもなく,したがって自分の就職観を持たず,ただ慣例に従って就職活動を行っているかのようです。それに適切なアドバイスをするのは大人たちの役割ですが,大人たちにもアドバイスするほどの自分の就職観がないのかもしれません。 最近,大学生の就職活動で,両親が障害の一つだと聞くことがあります。私はこれまでに何度か,北海道や九州の大学から,保護者を対象にした就職セミナーの講師依頼を受けました。第6図 フリーターと正社員の生涯賃金格差(厚生労働省 若者雇用関連データの賃金格差図より)第7図 ニート状態の若者の推移(厚生労働省 若者雇用関連データより)技能と技術 4/2013(厚生労働省 若者雇用関連データより)-42-第8図 完全失業率の推移

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