4/2013
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⑵⑶⑷⑸⑴にフライス盤のテーブル上に割り出し盤を乗せ,割り出し盤の連結軸とテーブルの左右の送りねじの軸とを歯車を介して連動し,テーブルの直線移動と同時に歯車素材を回転して,スパイラル加工が行われていた。その切削工具にはエンドミルの側刃が使用された。なお,今回紹介する方法は,当時,実際に加工に携われていた広田平一先生(元職業能力開発総合大学校 精密機械工学科教授)から頂いた実習資料に基づいている。 フライス盤による少数歯歯車の創成加工法の原理を図4に示す。インボリュート曲線は,円筒面に巻きつけた糸を,張力をかけながらほどくとき,糸の端点の描く曲線に相当する。図中の線分bcが糸に相当し,糸の端点がb点,開始点がa点となる。したがって,線分bcと円弧acは常に等しくなる。ここで,図のように常にc点が真上つまりZ軸上くるように基礎円をθで回転すると,b点は常にY軸に平行にc点を通る直線上にあることになる。このとき,∠coaをθとし,θ=ω・tで表せるとする。ただし,ωは角速度,tは経過時間示す。さらに基礎円の半径をrbとすると,線分bcは次式で示される。このことから,b点の座標を計算すると-33-で表すことができる。 平歯車であれば,b点の座標値に工具径補正を考慮すれば,インボリュート曲線を切削ができる。しかし,少数歯歯車の場合,はすば歯車である必要があるため,ねじれ角を考慮して工具補正する必要がある。当時,基準をワークの端面(x=0)とワークの回転軸(y=0)として,図5に示す工具補正を手動で設定して,その後,スパイラル加工が行われ,この動作を繰り返すことで創成加工された。歯車の軸方向の補正Δxと半径方向の径補正Δyとすると,次の式が用いられた。実践報告3.1 フライス盤による加工原理図4 フライス盤による加工原理図5 はすば歯車の補正

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