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岩手県立盛岡峰南高等支援学校 教諭小田島利紀-24- 本校では,平成19年度以来キャリア教育の推進・充実に努めてきた。そのなかで,キャリア教育の観点を教育活動に取り入れ,生徒1人ひとりの実態把握,目標の設定などに生かすことができるよう資料の整備を行ってきた。本稿では,キャリアプランニング・マトリックス関連の本校作成資料を紹介する。 本資料で使用しているいくつかの用語について以下に述べる。キャリア教育の定義としては,中央教育審議会答申による「1人ひとりの社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して,キャリア発達を促す教育」とし,キャリア発達を「社会の中で自分の役割を果たしながら,自分らしい生き方を実現していく過程」1)としてとらえる。 また,資料内では,同答申で述べていてキャリア発達を促していくうえで,その中核をなすものである「基礎的・汎用的能力」(人間関係形成・社会形成能力,自己理解・自己管理能力,課題対応能力,キャリアプランニング能力)や,いわてキャリア教育指針で述べている「総合生活力」と「人生設計力」の用語も使用する。なお,総合生活力とは,将来の社会人・職業人として自立して生きるために必要な能力のことであり,人生設計力とは,主体的に人生技能と技術 3/2013計画を立て,進路を選択し,決定できる能力のことと同指針では述べている。項目的な表現でいえば,総合生活力は「健康・体力」「豊かな人間性」「確かな学力」,人生設計力は「将来設計力」「勤労観・職業観」「社会を把握する力」から成り,社会人・職業人として自立をしていくための具体の要素であるという位置づけである2)。 標記の対応関係については,個々が明確に対応されるべき事柄ではないが,「基礎的・汎用的能力」の中での,人間関係形成・社会形成能力,自己理解・自己管理能力,課題対応能力は「総合生活力」に,「基礎的・汎用的能力」の中でのキャリアプランニング能力は,「人生設計力」に含まれる3)としてありこのようにとらえることを基本としていきたい。 国立特別支援教育総合研究所によって,知的障がいのある児童生徒の「キャリア発達段階・内容表(試案)」4)が2008年に示された。本校では,上表の一部を利用し,平成25年度版の原型ともいうべき「キャリア発達段階表」を平成19年度に作成した。その後,名称(キャリア発達段階表からキャリアプ1.はじめに2.用語について3.中央教育審議会「基礎的・汎用的能力」といわてキャリア教育指針「総合生活力」「人生設計力」の対応関係について4.本校の「キャリアプランニング・マトリックス」全体について4  障害者に対する職業訓練 キャリア発達の促しを意識した本校版「キャリアプランニング・マトリックス」の作成と学習活動への活用

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