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 上記のグラフに示されるように,対象者の年齢は0歳から80歳代と幅広く,相談内容は多様で複合した問題を抱える事例も多い。特に,そのなかでも青年・成人期における相談は,20〜30歳代と半数近くを占め,その多くが小・中学校,高等学校,専門学校や大学・大学院等と通常の学校教育を経てきた人たちで未受診・未診断の人とし,これまで実生活上の困難を抱えながらも,だれからも支援(理解や援助)を受けることなく,地域社会の中で孤立無援の状態におかれてきたケースも少なくない。 トスカにおける相談支援からみる現状について,以下にまとめた。○「発達障害」が知られるようになり,問い合わせや相談の申し込みが増加する一方である。特に,発達障害の診断を希望する本人,あるいは診断を受けさせようとする周囲の関係者が増えている。○家庭や地域生活が危機的状況にある事例が多いが,支援のための制度・施策,支援理念や支援法が未整備であるため,相談しても,本人や家族の困難な生活状況がいっこうに改善されず放置されてしまうことになりやすい。○都内における発達障害者支援の取り組みは,区市町村で支援体制整備をすすめているところだが,区市町村ごとの取り組みは,現時点においては幼児期を中心とした早期発見・早期支援に関する内容が主であり,青年期・成人期支援は未着手のところが多い。各分野における現場担当者間においてはすでに支援経験を重ねているところもあるが,関係部局間において実態把握や支援の方向性-13-についての共通認識が得られていない。○生活困難,あるいは就労を含めた社会参加困難の実態は多様である。障害名から想定される困難性ではとらえられない。本人の生活経験や自己認識,周囲の人との関係性,あるいは家庭や学校,職場の状況により,個別的に多様な困難性が生じている。○障害者支援,障害者就労の対象とされても,支援機関や雇用現場側がその人への対応に戸惑うことが多い。従来の障害者支援・雇用のノウハウや既存の支援マニュアルでは対応しきれず,支援現場や雇用の現場において双方が戸惑うことになりやすい。○障害者支援の領域に限らず,一般の学校や職場において,発達障害について認識せざるを得なくなっている人が多い。本人側にその認識はなくとも周囲が気づき,「障害ではないか」と疑われる人が多い。「要配慮」として周囲が新たな受け入れ態勢構築の方向に進むか,あるいは,排除の方向に進めたくなるかのどちらかになりやすい。 2.にあげた相談の中で,対象者の年齢が19歳以上の青年・成人期にある人の割合が多いことからも,就労にかかわる相談も多く占められている。 上記グラフから対象者が19歳以上の現況を見ると,どこにも所属されていない人(在宅)が28%あ障害者に対する職業訓練23.就労にかかわる相談

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