2/2013
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いう名目で大学が新設されたり,かつての専門学校や短期大学を次々に大学へ格上するという形で,大学数は増加している。その結果,学生達はお金さえあれば容易に大学への入学が可能になり,大学は学生数の獲得に四苦八苦し,最近では募集定員に満たない大学の比率が全大学数の50%近いという事態になっている。今やビジネス化した大学にとって定員数未達はそのまま経営難を意味し,入学試験の合格レベルを引き下げてまで生徒数の確保を行ったものの,今度は学力不足が日常の大学教育に支障を来たし,その対策を協議し解決するため,日本リメディアル教育学会を組織するという事態になっている。 一方で現役大学生に学生としての関心ごとを尋ねると1,2年生などは「卒業に必要な単位を取得すること」と疑問も持たずに答える。そして「卒業単位さえ取得すれば良いとの考えから,あえて単位取得難易度の低い科目を選んで受講する」という学生は多く,学びに意欲的な大学生に出会うことは少ない。また,3年生後期以降の学生に同じ質問をすると「希望通りの就職をすること」との答が返ってくる。この答が悪いとは思わないが,大学を卒業さえすれば就職できて当たり前,就職できないのは景気の悪い就職氷河期の就職活動となり,自分達は不運」と考えているようで,学士としての価値ある学生生活を送ったのかどうかに考えが及ぶことはないようである。 一方で私は,ある巨大な国立大学からの依頼を受けて,過去数年間にわたって行った特別講義の対象者は1年生。「目標の大学へ入学したという‘目的達成’で,学生生活の目標を見失い5月病にかかる学生が多発する。そこで入学後の学生生活をどのように位置づけ,過ごしたらよいのか,人生の先輩と若者達に伝えたい(文部科学省高等教育進学率推移データから)グラフ1 大学進学率の推移-47-

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