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3.何が目的で進学し,そこで何を学ぶのか?6789101112131415161718192021222324……1491802052282512642682692692722802903053213393694134514684734792345 かつて社会全体が貧しかった時代,日本には大学の数が少なく,入学競争率は高く,学力的にも経済的にも進学できる人,あるいは進学する人の数は限られていた。1939年に大分県の片田舎,貧しい農家で,10人兄弟姉妹の下から2番目として生まれ育った私は,中学生のとき,東京の大学への進学を目指して普通科高校の受験勉強に力をいれていた。そんなある日,どこかでその話を聞いた年の離れた次兄に呼びつけられ,「その日の生活もままならない貧しいなかで,10人もの子どもを高校に進学させることだけでも大変な状態なのに,普通高校に進学して大学まで行くとは何事か!?」と叱られた。現実の貧しい生活実態を知りながら,進学することが親を苦しめているということには全く気づいていなかった。さらに,大人でさえ生活費を稼ぐのに悪戦苦闘区分短期大学大学昭和23年24252627282930313233343536373839404142434445各種学校1,4053,4024,1905,1445,6746,0716,7417,3057,7328,0758,0158,0338,0898,0617,9527,9407,9317,8377,8977,9257,9918,0248,011区分12178201203220226227228228231234239245250260270291317346369377379382464748495051525354555657585960616263平成元短期大学大学389486398491405500410505420513423511431515433519443518446517451523526455532(1)457536(1)460543(1)460548(1)465561(1)474571(1)490584(1)499593(1)507592(1)514591(1)523595(1)534しているなかで,子どもがアルバイトなどで学費を稼ぐことができるなどとは思ってもみなかった私は,その場で大学進学という希望を捨て,職業高校である工業高校への入学を決断し,高校卒という学歴で社会に出たという思い出がある。小学校,中学校を通じて1学年は2クラス,合計約80人だった同期生の中で大学へ進学したのはわずかに1人。多くの同期生が中学卒業だけで社会に出て行った。私の育った時代はそんな時代だった。今はどうだろう? 文部科学省の情報に寄れば,近年の大学数および大学進学率の推移はそれぞれ表1,グラフ1の通りである。 表1,グラフ1が示す通り,近年の大学数の増加と進学率の向上は著しい。特に最近その傾向が強いのは,社会全体が豊かになったことはもちろんのこと,それだけではない理由があると思う。 少子高齢化が急速に進む日本社会のなかで,その流れに逆らうかのように,新たなニーズに応えると各種学校8,0568,0458,0357,9997,9567,0006,0945,7375,5085,3025,0274,8674,6744,4744,3004,1243,9183,6853,5703,4363,3093,2023,055区分短期大学593(1)552596(1)565598(1)576595(1)586588(1)604585(1)622572(2)649559(2)669541(2)686525(2)702508(4)709488(4)726(1)468(4)744(1)434(5)756(1)417(6)765(1)406(6)773(1)395(6)778(1)387(6)780(1)372(7)7832 本校・分校の合計数である。3 「大学」は新制大学のみである。4 ( )内の数値は通信教育のみを行う学校数で別掲である。大学各種学校2,9342,8212,7142,6012,4822,3612,2782,1642,0691,9551,8781,8301,7291,6541,5851,5331,4661,4261,392(注)1 国・公・私立の合計数である。(文部科学省学校設置数推移データから,短期大学,大学,各種学校のみ抜粋)技能と技術 2/2013表1 大学数の推移-46-

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