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株式会社真空プラズマ 代表取締役能勢 功一 私は中国職業能力開発大学校の外部講師として8年にわたり特に応用課程の学生のみなさん,教職員の方々とお付き合いさせてもらっています。現在はベンチャー企業の経営との二足のわらじを履いていますが,前職時代にすばらしい先輩に巡り合うことができ,その生きざまに多大の影響を受けました。表題はこの先輩からむしり取ったメモのキーワードですが,現在も私自身の経験則によく合致しています。 これから世の中に出ていこうとしている学生のみなさん,世の中に送り出そうとしている教職員の方々そして今現在世の中で活躍中の企業人の方々,これからの世の中は,特にモノづくりの環境においては激変の時代だと思われます。グローバル化の波の中,日本のモノづくり文化をどう対応させていけばよいのでしょうか。グローバル化とは組織対組織の競争です。そして企業も組織であり,かつそれまでの歴史と風土があり,その中で生み出された仕事のやり方があります。とても個人プレーで動かせるものではありません。個人として企業に参加し組織の一員となり企業の基本的な「型」,「DNA」あるいは「気」を身に着けたうえで,組織力を向上させる概念を取り込まなければとても競争に生き残れるものではありません。また全世界に広がりを持つ相手組織に対応するには,世界の国々の政治,経済,社会,歴史,文化を習得し,同じように日本のことを相手に説明,説得しなければなりません。グローバル化は競争といっても戦国時代の勝ち負けではなく,生き残りをかけた多様性の中の共生と考えられます。組織として,いろいろな立場に立って考える習慣を身につける必要があります。 団塊の世代より前の企業人として組織の中での仕-1-事を振り返ってみたとき,個人プレーでごり押しをしてうまくいかないと悩んだこと,先が見えていると楽観して状況把握をおろそかにして見事競争相手に逆転をされたこと,どうなるかわからないので,やめようかどうしようかと悩んだがエイままよと腹をくくり飛び込んだもののなかなか収束しないで苦しんだこと等々。先輩,後輩のみなさんも思い当たることがあるかと思いますが,すこし時間がたつとこの苦しんだことのほうが「おもしろかった」と感じられるようになってくるのではないでしょうか。仕事とは次々起きる問題への対応の連続でそこには決断が不可欠です。この決断は十分な情報のもとに行えることなどほとんどありません。ましてやグローバル化の中いくら情報網が発達しているからといって,世界の裏側の競争相手の状況などなかなか知ることは難しいものです。相手との競争状況を洞察し自分の組織,やり方を対抗できるように変更したりして苦しんだ挙句の仕事は「おもしろい」と感じられ,いい仕事をやっていると思えるのでしょう。 これから世の中に出ていかれる学生のみなさんには,技術,技能での自立は言うまでもなく,グローバル化の波の中,未来は予測するものではなく,自ら作り上げるものです。希望は与えられるものではなく自ら作るものです。消極的ではなく積極的に,否定的ではなく肯定的に,悲観的ではなく楽観的に仕事に取組んでもらいたいものです。 組織を強くするには,本校の「標準課題」「開発課題」におけるグループワーキングでの取り組みにその処方が垣間見えると考えています。この課題実習の講評をさせてもらった中で感じた課題実習の成果,成功体験をまとめてみたいと思います。この人のことばこのの人ことば「おもしろい」と感じたときいい仕事ができる

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