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図3 WBGT測定(3年次生,夏期)図4 JIS照度基準の確認て首をうなだれてじっとしている。膝にはまだ事情のよく飲み込めない二人の幼子がまつわりついている。そうした中をAさんは1時間ばかりお悔やみの言葉を連ねるのだが,奥さんからは何の反応も返ってこない。今日は何を言ってもだめだな,また出直して来ようとAさんが席を立ちかけると,今までうつむいていた奥さんが顔をふっと上げて,「水島工場では何人の方が働いておられますか」と聞いたので,Aさんが「一万人です」と応えると,奥さんがさらに言葉を継いでこう述べた。「水島工場にとっては主人の死によって一万人の中の一人を失っただけです。しかし,わが家では…私たちは…私は…人生のすべてを失ってしまいました」この言葉を聞いてAさんは脳天を斧で叩き割られたような大変な衝撃を覚えた。Aさんはこれまで産業活動のある所,ある程度の労働災害は付き物であってやむを得ない,ただ,度数率や強度率をできるだけ低くするのが自分の担当者としての責任であるという立場で安全衛生対策全般に当たっていたが,この奥さんの言葉を聞いて,1人ひとりかけがえのない人なのだ,労働災害は決してあってはならないんだ,ゼロ災でなければならないんだと心底悟ったという。それからの水島工場は安全衛生対策に一段と力が入り,優良事業場に様変わりした。Aさんも最後は川鉄の専務まで栄達された。しかし,この若き未亡人と二人の遺児はその後どのような人生行路を歩いたのだろうか…。】・熱中症とWBGT測定。労働衛生3管理(作業環境管理,作業管理,健康管理)。実習場では,湿度のある暑さを体感し,空調の利いたCAD室では,からっとした暑さの体感をしている。図3に示す。・VDT作業とディスプレイ照度測定(各自使用しているパソコン各部の照度測定)を行い作業環境管理の規則の理解を説明する。JISでは,作業者の疲労等を軽減し,作業者が支障なく作業を行うことができるよう,照明・採光,グレアの防止,騒音の低減措置等について基準を定めている。図4に,精密機械作業のライト点灯時の作業環境測定を示す。・インフルエンザなど感染症。手洗い運動。・機械据え付け点検簿の記載。技能と技術 1/2013-8-⑸ 現場の問題解決等育成・指導法・2009年厚生労働省「技能継承等インストラクター」の養成事業を,中国地域担当校として実施した。その折,高度熟練技能者が若手に指導するときに重要視すること・問題と思うことのアンケート結果を例として,次に記載する。① 身の危険につながること(怪我をする可能性)が,相手に伝わらない。② 意欲(知識・技能習得)をかきたてる動機づけ。③ 言葉1つで意味が変わる場合がある。(聞く人,言う人共に)的確に伝わるか。④ 企業人としての意識が薄い。⑤ 先を読む力が不足しており,経験が不足している。(言われたことしかしない)⑥ 積極的に欠けており,問題発生しても報告,連絡,相談がない。⑦ 若手にやる気にさせるための自己の能力。⑧ 若手が,行っている専門職種についての基本的事項(やるべきこと)が明確になっていない

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