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5.農業+福祉=健康創造産業年障害者数19名で全社員に占める障害者の割合は35.8%となり同時に売上は2億4千万円となり障害者雇用する前から比較すると3.7倍となっていたのです。家族経営からスタートした農園でしたが障害者雇用と共に経営規模を大きくすることができたのです。1つの農園事例ではありますが,障害者がもしも企業経営に負担であるとするなら障害者の比率が上がれば上がるほど売上が落ちていくはずです。 しかし,障害者比率が増えると同じく売上を伸ばすことができたということは決して障害者が負担ではないということを証明できたことになると思うのです。障害者雇用をすれば売上が必ず上がるとは言いませんが,可能性があることは間違いないと言えます。特に農業分野においては多くの可能性が秘められていると実感しています。-5- 私たち農業者は,今まで高品質な野菜をいかにたくさん生産するかという考え一筋に農業を行ってきました。しかし,農業は農産物生産ひとつが使命ではありません。もっとほかにも農業の使命があるはずです。障害者との出逢いの中で福祉というキーワードを知ることができました。農業生産を行いながら地域の障害者雇用を担う。また,高齢者の働きの場として農業が位置づけできたなら農業は農産物を生産する現場から地域福祉を担う現場にも成り得るのです。 現在,「地産地消」という言葉が良く使われます。農産物を食べるだけの言葉にしておくにはもったいないと思うのです。労力も地元にあるものを地元で利用できるのです。そして,福祉を産業である農業が担うことができれば国の福祉予算を減らすことができローコストな国になりますし,農業が新たな産業に生まれ変わるチャンスとなります。 現在の取り組み事例をご紹介します。障害者が農場で毎日毎日お掃除をしてくれていました。ハウス内はどんどん綺麗になっていきます。すると,害虫や病気が減ってきたのです。障害者の掃除のお陰で農薬の削減につながりました。ここで話は終わりません。どうせ農場をほうきで掃除して歩くのならいっそ掃除機で虫を捕穫すればよいのではと機械メーカさんと協力し虫捕穫機を製作しました。この機械は,ゆっくり動かすことがポイントなので障害者には絶好の仕事となったのです。この機械のお陰で農薬散布がなくなりました。農薬代金,散布労力が削減されお客様には安全安心の農産物が届けら障害者に対する職業訓練1京丸園の売上と障害者雇用の推移(2011年)さまざまな人が働くことができる虫捕獲機「虫トレーラ」

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