4/2012
27/50

6.ビジネスマナーの指導7.最後に確認対象評価指標例特徴コンピテンシー能力評価成果、具体的な行動主に職務職能による能力評価潜在的能力を含め能力全般論理思考、問題解決、対人能力成果に着目して発揮能力を評価学力、責任感、積極性発揮しない能力も評価 コンピテンシーは従来の職務職能による能力評価とは異なり,具体的な状況に応じ,いかに思考し,行動しているかを見て,顕在化した事実を分析するものである。職務職能表は厚生労働省が職業能力評価基準としてまとめたものがあり,業界研究のための資料として活用できる。 コンピテンシー面接では実際の具体的な経験に基づく事例を取り上げ,掘り下げた質問をするので,準備としては,個別にインタビューする形式で質問を投げかけた練習が必要になる。 マクレランドの後継者の1人であるボヤティズRichard E. Boyatzisによると「コンピテンシーとは,組織の置かれた環境と職務上の要請を埋め合わせる行動に結びつく個人特性としてのキャパシティ,あるいは,強く要請された結果をもたらすものである」と定義されるという。 ここで注目したいのは「組織のおかれた環境と職務上の要請」である。 「組織のおかれた環境」は常に変化するし,それに伴って「職務上の要請」も変化する。 コンピテンシー面接対策ではこうした変化する環境と職務上の要請に対応できると思われる具体的な行動を取り上げ,ロー・コンテクスト文化を前提にして,話す演習を面談の中で仕掛けていくことが有効であると考えられる。 学生が考えておいたもの(あらかじめ準備していた文章)をそのまま話そうとする面接から自分の頭で考えて話そうとする面接への態度変容に効果があがっており,この演習を通じて,曖昧な自信が確かな自己効力感(self-efficacy)へと成長していくよ-25-うキャリアコンサルティングを行うのが効果的であると思われるが,これについては引き続き検証を重ねていきたいと考えている。 基本的なことであるが,面接での入退室などの確認も必要である。 短時間ではあるが,「ふるまい」や「しぐさ」も人物重視の評価対象となっているため,事前に確認をしておく必要がある。 ビジネスマナーはすでに備わっていると思っているため,指導を希望する学生は少ないが,不十分な場合が多くみられる。ここでも自分はできているとの思い込みがみられる。 筆者の場合は,時間を短縮するため一連の流れについて型を示して練習をする方法をとっている。 行動についても,本来はその状況にあわせて考えて行動するのが良いが,話す内容に専念してもらうために,行動パターンとして練習を行う。 入室から着席,最後の質問から退室までの一連の流れの確認を行っている。 大企業を中心に普及した組織開発論に学習する組織論がある。将来の管理者・リーダーは個人と組織の開発を押さえる資質が求められる。 学習する組織論のセンゲ(Peter Michael Senge)は学習する組織をつくるためには次の3つの柱があると主張している。⑴自らを動かす力,⑵複雑性を理解する力,⑶共創的な対話する力 個別就職指導では,これらの前提となる自ら考えて思考し,表現,さらに行動する。そしてそれらを振り返って,そこからの新たな発見や学びを次の行動に生かす。しかもチームを巻き込んで自らも動きチームも動かす。大変欲張りな人材像であるが,少なくともこうした人材像を目指して成長できるためにはまず自分で考えて行動することが基本となる。 キャリアコンサルティングはこうした思考能力の実践報告5.2 実際の具体的事例の研究表2 コンピテンシー能力評価比較表

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る