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1.はじめに職業能力開発総合大学校 小平キャンパス 学生課大天 健一 筆者は生涯職業能力開発促進センター(愛称:アビリティガーデン)でホワイトカラーの職業能力開発についての調査・研究,そして求められる能力開発コースを設計・開発・実施検証をする仕事に従事する機会を得た。生涯職業能力開発促進センターは平成21年3月31日をもって廃止されたが,ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキル,コンピテンシー開発・育成など,昨今の変化に対応するために必要とされる能力開発について扱ってきた。ものづくり技術者も常に変化するビジネス環境への対応力が求められており,ここでの知見は「これからのものづくり人材の育成」にも大いに役だつものと考えている。 また,年長フリーターの正社員化を能力開発面から支援する「再チャレンジコース」の開発・実施では先の検証は若年者の就職の意識と採用側の期待の擦り合わせを検討してきた。フリーターは加齢とともに就業機会が減る。具体的には職業経験に乏しいまま年齢を重ねてきたことから,面接の機会すら与えられず,正規雇用を希望しても企業面接さえ拒否されるケースもあるなど入り口の段階から常用化への壁が存在していることが大きな問題であった。このことは若年者の職業能力の蓄積や就業意欲の向上を妨げ,本人の雇用安定に問題を引き起こすだけでなく,将来において産業や社会を支える人材の育成が図られず国全体の技能・技術レベルの低下を招くおそれがあるということで社会問題としてとらえ,年長フリーター支援として実施することとなった。再チャレンジコース開発・実施については厚生労働省の平成22年度事業評価書にまとめられている。この職業経験に乏しい者の就職支援は職業経験をもたない新卒者への就職支援のヒントを提供してくれる。 筆者はこうした調査研究・実施検証の成果を若年者の育成や就職支援に生かせると考えている。 ここでは職業能力開発総合大学校小平キャンパス(旧職業能力開発総合大学校東京校)専門課程・応用課程で実践してきた就職支援のうち,多くみられる思い込みによる就職活動の誤解の解消に向けた問題解決のアプローチをまとめることとしたい。実践報告図1 ポテンシャル採用に対応した能力の説明法(「再チャレンジコース」開発の考え方(生涯職業能力開発促進センター)から加筆修正)-19-コンピテンシー採用に対応した就職支援の実践

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