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図2 木質材料の多孔質部分へのフェノール樹脂含浸とその後の焼成の略図1),2)図3 木材組織の孔部分へのフェノール樹脂の含浸状態のSEM写真1),2)技能と技術 3/2012図4 MDFを原料としたウッドセラミックス構造のSEM観察1),2)-28-2.2 ウッドセラミックスの特性工程を示す1),2)。 物理的分野4),5),電気的分野6)~10),化学的分野11)~13),機械的分野14),15),そして加工分野16)~19),等からウッドセラミックスについての研究が行われている。図2は,ウッドセラミックスの特徴的な構造について製造工程から示したものである。 図より,ウッドセラミックスの大きな特徴は,原料である木材あるいは木質材料の多孔質部分にフェノール樹脂が含浸し,孔部分が補強された構造となっていることである。図3は,木材(天然)の孔部分(写真:木口面)にフェノール樹脂を含浸する前の状態(左側写真)からフェノール樹脂を含浸し,さらに焼成した状態(右側写真)についてのSEM写真である。木口面の孔部分がフェノール樹脂の含浸によって補強されているのがわかる。 図4は,木質材料である中質繊維板(MDF: Medium Density Fiberboard,以後MDFと称す)にフェノール樹脂を含浸し,そしてさらに焼成したものを材料の板厚方向から示したSEM写真である。MDFは,木質繊維がランダムに交差したものが板厚方向に積層されて,プレス成形された材料となっている。図より,木質繊維管の内部,繊維の外周部分,そして木質繊維間の隙間部分にフェノール樹脂が含浸された状態となっている。 現在扱われているウッドセラミックスの原料は,MDFが主な原料となっている。これは,MDFが,木材(天然材)と比べて,異方性が小さく,反りあるいはねじれ等がきわめて少ない材料であるためである。 ウッドセラミックスには,以下のような特徴がある。1)多孔質構造を有する,2)軽く,硬く,耐熱,耐食性を有する,3)潤滑油なしでも優れた摩擦・磨耗特性を有する,4)焼成温度により電気抵抗が可変である,5)電磁シールド特性を有する,6)製造物の廃物(木酢液)を土壌改良剤として利用できる,7)粉砕,再処理すると活性炭として再利用可能である,などがある。図5は,ウッドセラミックスの密度と焼成温度の関係について示した図である4)。比較材として,フェノール樹脂の含浸率が0%の材料(木炭)を示す。 図より,ウッドセラミックスの特徴は,焼成時に

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