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図1 ポートフォリオの概念図図2 ポートフォリオの具体例 本稿では、2010年度における関東職業能力開発大学校の大学校経営を中心に、どのような基本理念により大学校を運営してきたかを事例として、人材育成の在り方とPPM手法をとりいれた大学校経営の方向性を示唆することを目的としている。PPM手法とは、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(Product Portfolio Management)の略で、各種の事業に対して投資等の優先順位を決定するような経営戦力立案のための情報を簡易的に示す手法として広く活用されている(1)。 図1に示すように、ポートフォリオでは、例えば、縦軸に市場成長率を横軸に相対マーケットシェア等を設定し、それぞれの象限を「拡大事業」「投資回収」「経営判断」「撤退事業等に分類し評価している。「拡大事業」の象限は、成長の早い市場で高いシェアを確保している状態であり、その反対に「撤退事業」の象限は、成長の低い市場で、シェアが低い。「拡大事業」を継続し、「撤退事業」からは早期に撤退するという経営戦略を非常に簡潔に示すことができる(2)。このPPMの考え方を応用して、関東能開大では、図2に示すように縦軸を入校率、就職率、能力開発セミナー実施率、事業内援助実施率とし、横軸を高校訪問数、求人企業数、会社訪問数、イベント件数等とした。また、4つのPPM評価表を1枚にまとめて、それぞれの向きを正方形の各頂点に向くようにし、評価結果をレーダーチャートにより図示することで、視覚でも明確に達成度合いが確認できるようにした。 PDCAサイクルによるマネジメントの必要性が叫ばれて久しいが、大学校経営の現場からの提言は必ずしも多くはない(3)。そこで、関東職業能力開発大学校の具体的事例研究によりPPM手法による大学校経営の有効性について論じ、大学校の今後の改善課題を明らかにしたい(4)。Ⅰはじめに研究報告関東職業能力開発大学校 太田 正廣・砂田 栄光−31− ―2010年度における関東能開大の評価改善事例から―研究報告PPM手法による大学校経営

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