1/2012
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 3月の震災では、当校でも、大きな揺れに見舞われ、すぐに停電し、寮に設置されている自家発電装置の燃料も夜10時半過ぎには尽きてしまい、その後は長く停電が続きました。幸い11日が修了式であったため、寮には訓練生もいない状況でしたので、大きな問題にはなりませんでしたが、もし、通常の訓練期間であれば、大きな問題になっていたことは否めません。 もちろん、電気以外にも、水、ガス等のインフラの復旧にも時間がかかり大きな問題になり得たことでしょう。 それらの問題に対して、1つ1つ、できるところから備えていくことが求められると思います。 今回のシステムは、一般的に何百万円もかかる売電を伴うソーラーシステムではありませんが、かなり少ないコストから始められるというメリットがありますし、大きな電力ではありませんが、何よりも、停電時の夜でも問題なく使えます。これは、バッテリーを使っているシステムなので当たり前のことではあるのですが、照明やテレビだけでも、停電時に使えることはありがたいことです。最近の光電話用のモデムなどは、AC駆動なので、停電すると電話もインターネットも使えなくなります。今回のシステムでは、それも問題なく使えます。かかる費用は、ソーラーパネルとバッテリー、インバータ、その他数千円のパーツ代だけです。ソーラーパネル、バッテリーの大きさにもよりますが、120W級のパネルを使っても、5, 6万円で構築できます。 現在ある、多くのAC電源用の電化製品を使うためにインバータを使ったシステムを構築しましたが、使用する電化製品の多くは、ACをDCにして使っているものも多く、インバータを使わず、ダイレクトにDC電源を使うようにすれば、DC→AC→DCによる電力損失も少なくできます。これからの時代、DC12V機器が増えてくれば、もっと使用電力を減らせることも期待できます。 さらに、このような、小規模なシステムであっても、全国の各家庭の多くで実施されれば、全体として大きな節電効果が得られるのではないでしょうか。 訓練の現場においても、今後、電力システムに関するテーマを取り上げるきっかけになれば幸いです。おわりに技能と技術 1/2012−30−

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