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図3 産業用長時間燃焼型薪ストーブの使用例技能と技術 1/20126-1.現状の触媒方式の分析(燃焼と排気)−HS法を用いて二次燃焼機構付きの産業用薪ストーブの新機構を構築する手法を修得し、低コスト化と実用化を実現し、被災地からメイドイン釜石として発信することを目指すこととした。 家庭用薪ストーブには二次燃焼方式は大きく2つ挙げられる。現在日本では、建築基準法に基づく薪ストーブの設置に関する法規制はあるものの、排煙に対する法規制は設けられていない。一方アメリカ等では、家庭用薪ストーブの排煙による大気汚染を防止するという環境問題の観点から自動車の排ガス同様に厳しい法規制が設けられており、海外主要メーカー製の薪ストーブにおいては、二次燃焼機構は、すでに必要不可欠な構造となっている。しかし、その複雑な構造や触媒に希少金属が使われる等の理由からコスト高となるため、日本国内の家庭用以外の薪ストーブにおいては、安価な薪ストーブほど普及していないのが現状である。 専攻科で教育訓練する改善力育成プログラムは、課題解決・課題達成型QCストーリーのPDCAを回すことである。 本テーマの取組みに当たり、従来のストーブの燃焼効率を上げるために、①現状の触媒方式の分析を行い、②機能を生かした新しい燃焼方式の革新案を選出し、③VE手法によるアプローチを実施した。 最初のステップとして、触媒方式の二次燃焼構造が採用されている海外メーカー製薪ストーブの基本機能を分析し理解するため、触媒の構造・材質と二次燃焼のしくみを分析した。 排気通路はハニカム構造体となっていて、ほとんどの触媒が、プラチナ、またはパラジウム等の希少金属をコーティングしている。 触媒はストーブ内に置かれていて、煙に含まれる未燃焼ガスを燃料としたもうひとつのストーブのような役割を担っている。 薪ストーブ本来の機能を理解するため、燃料である木材が「燃える」という現象について、改めて原理を整理することにした。 燃焼という現象は化学的には酸化現象であり、燃料に含まれている組成元素の中で、燃焼現象を起こす元素と空気中の酸素が化学反応する際に大量の熱エネルギーを発生させ、その熱が発する電磁波が炎として目に見えるものである。 木材が燃焼すると燃焼ガスになる。これは燃焼した後の高温の排ガスのことである。この燃焼ガスの温度が低いと不完全燃焼の状態になりやすい。 燃焼ガスの温度は、空気比と燃料に含まれる含水率が大きく影響し、空気比が低く、含水率が高いほど燃焼ガスの温度が下がり、不完全燃焼の状態になりやすい。5.二次燃焼機構の現状把握6.アプローチのVE手法−8−

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