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図5 ロボットハンド図6 把持パターンと拘束リンク図7 疑似直線運動機構 人間をはじめ自然界の生物には移動手段として足が備わっている。足を動かす筋肉は工学的に見ると実に優れたアクチュエータである。最近は強力な磁力を発生できる電気モータが開発されてきたが、筋肉のように軽くて小さくて力強い動きをさせることは容易ではない。効率の良い人工筋肉が開発されればロボットの世界はもっと変わってくるであろう。 さて、二足歩行ロボットをはじめ脚型構造を持ったロボットは、車輪型やクローラ型のロボットに比 図5は、疑似円運動機構を用いた人間型ロボットハンドである。手の構造は複雑で各関節にモータをつけると人差し指だけで3個以上も必要になる。しかし、一定の角度パターンで各関節を曲げるとした場合、図6の点線で示す拘束リンクを設ければ1個のモータで任意の把持運動を行わせることができる。較して効率やコスト面において決して有利な移動形態とはいえない。また、歩行型ロボットの活躍が期待されている福祉や地雷探査、レスキュー等の分野においても実用化された例は少なく、研究用あるいはアミューズメント用が中心である。そこで、複雑な脚構造や制御系について見直しを行い、メカニズムを工夫することによって、より実用性の高いロボットを製作してみた。このロボットのポイントは、4節非平行リンク機構を用いた脚のメカニズムとその移動形態にある。 図7に示すように任意の長さを持つLink1とLink2を考える。Link2の先端部を垂直に上下運動させるとき、点Pの動きに注目する。点Pはある一定の範囲内で円弧に近似させることができる。この円弧の中心をO'とし点Pと回転関節となるようにLink3を設ける。こうして構成された4節リンク機構でLink1を上下に回転させるとLink2の先端部は地面に対してほぼ垂直に上下することができる。4.実用化に向けた脚型歩行ロボットの開発−27−研究ノート

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