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図2 ピック&プレースロボット技能と技術 4/2011図3 全方向移動ロボット図4 チェビシェフ&平行リンク機構 ロボットといえば二足歩行ロボットがその代名詞にもなっている。今ではそうしたロボコンも開かれるようになった。数十個のモータを積んで歩けるようになったのは、効率の良い電池と高性能なモータによるところが大きい。しかし、人間の筋肉のように理想的なアクチュエータが存在しない限りメカニズムを工夫してモータの数を減らす必要がある。 図2は、1個のモータで掴む、持ち上げる、運ぶ、離す動作ができるピック&プレースロボットである。茶運び人形にも使われているカムをうまく組み合わせることで複雑な動きをさせることができる。まさに現代のからくりである。現在でも包装機械や食品機械等、多くの工場で使われている。 コンピュータや電気モータがなかった時代、それに代わる工夫はあらゆるところで行われていた。今は主役の座をコンピュータ制御に譲ってしまったが、最新のロボットや自動化装置等にも古くからのメカニズムが有効に使われている。地球環境や安全性が厳しくなってきた現在、あえて電気を使わない工夫といったことも注目されてきた。工場の生産ラインで電気を使わずに茶運び人形の原理を活用して省エネを果たした企業もある。「古きを温ねて新しきを知る」のように先人の知恵に触れてみることも意義がある。 クランクとリンク機構を工夫するとさまざまな歩行曲線をつくり出すことができる。図4は、疑似直線運動機構のチェビシェフ機構と平行リンク機構を組み合わせた歩行メカニズムである。1個のモータで上下に揺れない歩行運動を行わせることができる。このほかにもヘッケンリンク機構や最近話題になったテオ・ヤンセン氏の歩行メカニズム等さまざまなリンク機構が存在する。リンク機構で任意の曲線運動をつくり出すことは試行錯誤を伴うがまだまだ創意工夫する余地は残されている。 図3は全方向に移動できるロボットである。コロを用いた特殊なタイヤ構造にすることでステアリングをせずにあらゆる方向に移動することができる。マイコンと組み合わせれば床面プロッタとして使うこともできる。3.ロボットとメカニズム−26−

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