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 国立職業リハビリテーションセンター(以下「職リハセンター」という。)においては、平成14年度より精神障害者及び高次脳機能障害者に対する職業訓練を実施しているが、入所段階で受講する訓練科について決定した上で、本訓練へ移行するための中間的・過渡的な訓練の場として約1カ月の導入訓練を職域開発科において設定し、その後各訓練科での技能訓練を中心とした本訓練(11カ月)を実施していた。この場合、高次脳機能障害者に対しては職域開発科における各コース選択をするための適職探索としての目的として、精神障害者に対しては入所後に徐々に適応(緩やかな訓練へのスタート)させることを目的とする導入訓練を実施していた。 しかし、入所段階で訓練生の障害受容、社会適応力の状況に見合った訓練科選択ができていたとは言い難い状況にあり、訓練科決定機能を持つ導入訓練の必要性が求められていた。 また、障害者の職業能力開発施策や就労支援施策の充実が図られる中で、障害者職業能力開発校が特に重点的に取り組むべき対象者について、関係者の意識共有を図り、その積極的な受け入れと円滑な職業訓練支援を推進するための対応方針等について検討するため、平成19年度に厚生労働省において『「職業訓練上特別な支援を要する障害者」の職業訓練のあり方の関する検討委員会』が開催され、同検討委員会において当面の障害種類に該当する障害者の提言がなされた。職リハセンターではこれらの提言を踏まえ、精神障害者・高次脳機能障害者、発達障害者等の「職業訓練上特別な支援を要する障害者」の積極的受け入れを図り、効果的な職業訓練技法の開発・試行等に取り組むこととしており、平成20年度の発達障害者の受け入れを契機に、精神障害者・高次脳機能障害者も含めて、一般訓練科(既存科)での受け入れ可能性をより広く確保しつつ本人の社会適応力を見極め、適性にあった職業訓練を選択することを促進するため、訓練科の適切な選択をその目的の1つとした新たな形での導入訓練を再構築し実施することとした。 これまで、職リハセンターにおいては技能面の習得や訓練受講上本人の適応面に課題が多く、より手厚い支援が必要な者は職域開発科において受け入れを行っていた。 職域開発科では訓練指導員と障害者職業カウンセラーとのチームティーチング方式により就労に向けて本人の能力・適性等を見定めながら個別対応での技能習得に重点を置き、職業への適応性(作業耐性・労働習慣等)を整えながら適職探索し、より実務的で具体的な職務を想定した緩やかな技能付与を実施1.はじめに2.導入訓練の流れ障害者に対する職業能力開発について②国立職業リハビリテーションセンター 野村 隆幸−9− 障害者に対する職業能力開発について②新たな導入訓練の実施による効果的な職業訓練に関する取り組みについて

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