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1.まえがき2.太陽電池の基礎職業能力開発総合大学校 電気システム工学科清水 洋隆・山本  修 筆者らは,太陽光発電システムに関する学習教材を開発している(1)(2)。本教材は,一般家庭用の太陽光発電システムと商用電力系統との連系に使用するインバータシステムの設計・製作・評価を行うものである。前報では,本教材を用いた学習の流れについて述べるとともに,系統連系PWMインバータ部分の構成と設計・製作・試験における学習要素について示した(3)。 系統連系インバータとは,太陽電池のような直流電源で発生した電力を交流電力に変換し,商用電力系統のような交流電源側に供給する機能を有する装置のことである。太陽光発電システムに適用されるインバータには,系統連系インバータとしての機能以外に,太陽電池で発生した電力を最大限に引き出すための電力制御機能や,システムあるいは電力系統に異常や故障が発生した場合の保護機能などが備わっている。このような機能を有する装置をパワーコンディショナと呼び,前述の系統連系インバータと区別する。 本教材では,パワーコンディショナの機能の中の最大電力点追従(MPPT:MaximumPowerPointTracking)制御機能を,前報で報告した系統連系PWMインバータに付加することでパワーコンディショナを構成する。その動作を理解するために,ま1/2011ずは,太陽電池の特性について学習する。続いて,太陽光発電システムをモデル化し,計算機シミュレーションにより制御の詳細を把握する。さらに,実際に製作した系統連系PWMインバータに,MPPT制御機能を実装したDSP(DigitalSignalProcessor)を組み合わせてパワーコンディショナを実現し,その運転試験を通じて理解を深める。 本教材を用いた実習の最後には,ベースとなる基礎的事項や,システムの設計・製作,シミュレーションや運転試験の結果についてプレゼンテーションする。 本報では,以上の内容について詳細に述べる。 太陽光発電用パワーコンディショナの機能を理解するためには,太陽電池の発電特性に関する基礎的な知識が必要である。ここでは,その知識について述べる。 半導体に光などのエネルギーを与えると,半導体内部では,原子に束縛されていた電子がそのエネルギーを得て自由電子となる。また,その電子が束縛されていたところが正孔となる。その結果,半導体は導電性を持つようになる。 半導体にはp形半導体とn形半導体とがある。前232.1 太陽電池の発電原理(4)(5)教材開発―太陽光発電用パワーコンディショナの基礎と製作・評価―太陽光発電システム実習用教材の開発

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