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6.まとめ<参考資料> 1期生の3次元CAD技術という訓練で,「具体的な活用例をもっと知りたい」という趣旨のアンケートや意見があった。検証の結果,訓練生の習得度が想定より上がっていた。担当の指導員では対応できるスキルはない。 そこで,2期生からは,大学校などで実績のある外部講師の方を4日間お願いした。生産現場に即した実践的な訓練となり,金型設計での習得度は上がり,アンケートでも好評だった。 訓練課題は,「ものづくり未経験の訓練生にとって魅力のあるもの」として,訓練生自らが考え製作できる“だれもが知っている単純なもの”とした。訓練生にとっては“私が考え,私が作った,私の品物”となったことで「ものづくりの楽しさ・おもしろさ」を感じられる技能の世界に踏み込んだ。その平成21年度職業能力開発論文コンクール厚生労働大臣賞(特選)受賞 「訓練課題を活用した離職者訓練の実践」~5期連続就職率100%の要因~を本編用に編集した。後,ステップごとの訓練課題の完成による“達成感”を味わい,未知の業種に飛び込んでいく“自信”をつけ,訓練関連職種での就職へとつながった。訓練課題である「実用的な品物」を作る過程において,先輩訓練生の成果物と報告書を訓練教材として活用した。そして、訓練生同士で教え合いお互いの技能を徐々に高め,応用的な訓練課題である金型とその報告書の完成となった。 訓練生のほとんどが未経験であるのにかかわらず,現下の厳しい雇用情勢にあっては買い手市場であり,企業からの採用基準として実務経験年数による即戦力を求められた。それに「対抗するツールとして訓練課題による成果物とその報告書」を考えた。訓練生の技能・知識の程度や言葉にしにくい発想力(設計),構成力を具体的(訓練の見える化)に証明できる。採用面接で,成果物の質問を投げかけられるとしめたものである。自ら,企画・設計・製作しておりどんなことでも応えられ質問以上の回答もできる。1期生の就職活動では,成果物と報告書を活用したことにより,書類選考や採用面接を突破できる確率が格段に上がったことで有効性の証明となった。今では,指導員にとっても事業主団体や企業開拓での最大の武器となった。 一方,課題も見受けられる。現在,訓練関連の機械加工現場での求人がない。ハローワークから求人がまれに出るとクラス内から数人が受けることとなってしまっている。しかも,全体の応募者は,30~40人を超えることは当たり前である。企業開拓での実践力および多様な訓練生に対する応用力が益々求められている。 今後,PDCAサイクルによる訓練や就職支援についての見直しとともに,訓練スキルの向上を目指していく所存である。技能と技術5.2 外部講師の活用による改善例図30 就職先企業へのヒアリングから抜粋18

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