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1.はじめに2.職業能力開発における現状と課題11栃木センター(栃木職業能力開発促進センター)森口  肇・塩田 達彦図1 第17回職業能力開発研究発表講演会風景3/2010特集 近年,栃木県においては,情報サービス業以外の製造業などにおいても情報技術の導入が積極的に進められており,ソフトウェアだけでなく,ハードウェアの知識・技術をあわせ持った情報技術者育成のニーズが高まっている。県内の製造業では,さまざまな機器に組み込まれたマイクロプロセッサ上で動作するソフトウェアを開発する業務を行う企業が数多くあり,自動車,家電,医療機器,製造機器など制御対象が多岐にわたるため,ハードウェアの知識・技術を習得した情報技術者育成の要望が数多く寄せられている。 このような状況を踏まえ,栃木センターでは,平成20年度より組込マイコン技術科(現在制御技術科,期間6ヵ月)を新設し,訓練を実施しているところである。そのなかで,地域産業の実情と仕上がり像から,ハードウェア部分(前半3ヵ月)の習得度測定課題として,温度センサを入力としたH8マイコンによる小型モータ制御システム構築実習を設定し,実施している。 昨年開催された第17回職業能力開発研究発表講演会(図1参照)において,同テーマで課題設定の過程,訓練生に対する課題実施結果を整理・実証し,あわせて課題実施の必要性と今後の検討を行い,ポスター発表を行った1)ところであるが,今回,現在の状況,改善した点などを含めて,改めて報告する。 経済産業省では,国家資格である従来の情報処理技術者試験に,2001年度からエンベデッドシステムスペシャリスト(ES)の試験分野を新設し,延べ4,078名の合格者を輩出し,養成を図っている2)。 雇用市場においては,経済産業省の2009年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書で,わが国の組込みシステム技術者はソフトウェア技術者だけでも6万9千人不足していると報告されている3)。 景気後退の影響を受け,昨年より2万人程度減少しているものの,今後も市場の拡大などでさらなる不足が懸念され,人材育成が急務になっている。 経済産業省,厚生労働省,文部科学省より2009年5月に発表された「2009年版ものづくり白書」のものづくりに係る能力開発施策の中で,雇用・能力開発機構(以下「機構」という)が実施している離職   職業能力評価と訓練へのフィードバックについて組込マイコン技術科(制御技術科)における習得度測定課題の実証と検討

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