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4.2.1 対象,条件,基準を明記する4.2.2 大目標を作業手順ごとに分解する4.3 目的―指導項目の一貫性4.4 目的―評価の一貫性表7 改善前の指導項目・課題の提示・規矩術を使った部材の墨付・現寸図を使った部材の墨付・手工具を使った加工・組立・成果の確認表8 改善後の指導項目・課題の提示①図面からの加工寸法の決定②規矩術を使った部材の墨付・現寸図を使った部材の墨付③電動工具を使った効率的な加工・組立・成果の確認 目標は,作業の「対象,行動,条件,基準」の4項目を記述する。対象と行動は必ず,条件と基準は可能なかぎり記述すると目標を具体化できる。表5の改善前の目標では,作業の対象が「隅木,桁,垂木,鼻隠し,振れ垂木」,行動が「墨付加工ができる」である。条件,基準は設定していない。 改善前の目標が曖昧で目的と一貫しなかったのは,上記4項目のうち3項目「対象,条件,基準」に以下の不備があったからだ。・対象が目的と一貫しない。・条件の記述がない。・基準の記述がない。 そこで表6の□部のように改善し,大目標とした。 対象が目的と一貫しないのは,目的の作業対象と目標の作業対象が一貫しないからだ。本来の目的の対象は「隅木」と「周辺部材」である。このとき「隅木」に対して「周辺部材」は補助的な要素だが,表5の改善前の目標では周辺部材が数多く設定され主たる作業対象になっていた。表6の対象は3部材に限定し「1)隅木/振れ隅木と,2)桁,3)垂木」とした。 条件は,訓練生が作業をするときの「助け」の条件である。「テキストを確認しながら」「先輩に要所の確認を受けながら」「1人で」などが作業の助けとなる。表6の条件は,「1人でできる」とした。これは,目的の問題の欄に「1人で作業ができない」と設定していたからである。 基準は,作業結果の品質と所要時間である。墨付加工であれば,基準は「組立に必要な精度で」「間違い箇所が0で」「30分で」などが品質や所要時間となる。表6の基準は,「3時間以内」「間違い箇所が1ヵ所以内で」とした。これは作業経験のない訓練生が,現場で求められる最低基準を想定した。 設定した大目標を具体化するため,想定される作業手順にそって分解し小目標とした。小目標は表6の大目標の下段のように,次の3項目を設定した。24・墨付に必要な寸法を図面から30分以内で導ける。・規矩術や現寸図を使って90分以内で墨付できる。・電動工具を使って効率的に60分以内で加工できる。 目標は上記の手順で,目的で設定した現場作業を想定して明確にした。次に目標に到達するための指導項目を再検討した。 改善前・後の指導項目を表7,表8に示す。 作業現場を想定したことで,表8の①~③を追加・変更した。① 加工寸法の決定 項目を追加したのは,現場作業では加工寸法を作業者自ら決定しなければならないからである。② 規矩術を使った部材の墨付 技能検定課題で設定されている高度な仕口仕様から,現場で使われる平易な仕口仕様に変更した。③ 電動工具を使った加工・組立 技能検定課題は手加工が作業条件であるが,現場作業で電動工具を用いる実態に合わせた。 目的と評価を一貫させるため,評価課題を図1から図2に改善した。指導項目・小屋組の各種工法指導項目・小屋組の各種工法技能と技術

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