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4.1 目的を明確にする表3 改善前の目的目  的問  題:小屋組施工の際,必要部材の墨付加工ができないと,施工を任されても1人で作業できない。現  状:必要部材の墨付加工ができない。修了者像:必要部材の墨付加工ができること。表4 改善後の目的目  的問  題:寄棟屋根の棒隅屋根や振れ隅屋根の現場で必要な加工部材に隅木がある。隅木を納めるには,隅木を納める周辺部材の墨付加工ができなければ,1人で作業できない。現  状:寄棟の棒隅屋根や振れ隅屋根の施工を現場で見たことがある。施工を援助したことがある。切妻屋根であれば1人で墨付加工できる。1人で墨付加工したことがない。隅木とその周辺部材の墨付加工能力が不足する。修了者像:寄棟の棒隅屋根や振れ隅屋根の現場作業で,隅木と周辺部材の墨付加工を任せても,1人で作業ができる人を養成することを目的とする。3/20104.2 目的―目標の一貫性表5 改善前の目標加工ができる。表6 改善後の目標寄棟屋根に必要な部材のうち1)隅木/振れ隅木と,2)桁,3)垂木の墨付加工が3時間以内かつ間違い箇所が1ヵ所以内で,1人でできる。・墨付に必要な寸法を図面から30分以内で導ける。・規矩術や現寸図を使って90分以内で墨付できる。・電動工具を使って効率的に60分以内で加工できる。② 目標が曖昧で目的と一貫しない。③ 技能検定課題が評価として適切か,目的に照らして検討していない。 こうした反省を踏まえ,POCEが一貫するよう改善した計画案を以下に示す。 曖昧な目的を明確にするため,次の2点を改善した。① 受講生が仕事上で,実際に作業すると想定される現場を明記する。② 受講生の既有の能力を明記する。 改善前・後の目的を表3,4に示す。 表4に示すように作業の特性を明確にするため,作業現場の3要素を「現場種類,加工部材,作業種類」に整理して記述した。改善したセミナーでは,次のような作業現場を想定した。・現場種類:寄棟屋根の棒隅屋根,振れ隅屋根・加工部材:隅木と隅木を納める周辺部材・作業種類:墨付加工 また表4では訓練対象とすべき能力を明確にするため,受講生の保持能力を3要素「できること,できないこと,不足能力」に整理して記述した。改善したセミナーでは,次のような保持能力を想定した。・できること:寄棟の棒隅屋根や振れ隅屋根の施工を現場で見たことがある。施工を援助したことがある。切妻屋根であれば1人で墨付加工できる。・できないこと:寄棟の棒隅屋根や振れ隅屋根の部材を1人で墨付加工したことがない。・不足能力:隅木と周辺部材の墨付加工能力が不足する。 目標は①目的と一貫すること,②具体的な表現であることが求められる。具体的とは解釈を一通りに限定できることである。解釈を限定できないと目標をもとに指導項目・評価を設定する際,本来の目的と一貫性が崩れしまう。 上記①②の条件を満たすため,目標は大・小2つの段階に分けて設定した。大・小目標の設定で留意したことは,以下のことである。・大目標:対象,条件,基準を明記する。・小目標:大目標を作業手順ごとに分解する。 改善前・後の目標を表5,6に示す。目  標隅木,桁,垂木,鼻隠し,振れ垂木の墨付目  標23

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