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2.分析方法と調査データ技能・技術の修得度⑴ 調査分析モデルOJT職種転換の回数など経験の幅職場の先輩や上司から受けた技能・技術の指導体制Off・JT自身の技能・技術向上のために利用した研修自身の技能検定や免許などの資格取得状況キャリア志向仕事に対する興味や意欲入社前教育学校で学んだり体験したこと図1「調査分析モデル」⑵ 調査サンプル用いた。 調査分析のモデルを図1に示す。モデルは図の右の技能・技術の修得度に対して,図の左の教育等の4要因がどのような影響を与えるかを統計的に分析するものである。 技能・技術の修得度という概念を規定するに当たって着目したものは,小池(1997)の知的熟練理論の「不確実性をこなすノウハウ」である。小池は現在の職場で最も肝要な技術が不確実性をこなすノウハウであり,それは問題解決力と変化対応力であるという。そして,問題解決力の内実は,問題の原因推理力,その原因の直し力,検査力であり,変化対応力の内実は生産量の変化,製品の種類の変化,生産方式の変化,人員構成の変化への対応力という。 本研究ではこの「不確実性をこなすノウハウ」が技能・技術の形成を支える内実に等しいとみなしてそのノウハウの程度イコール「技能・技術の修得度」とした。 そして,「技能・技術の修得度」を構成する変数を発見するために11問の質問項目を質問ごと5点スケールで独自に作成した。14 また,この修得度に影響を及ぼすものとして「OJT」6問,「OFF・JT」8問,「キャリア志向」13問,「入社前教育」9問の4要因36の質問項目を質問ごと5点スケールで独自に作成し,「技能・技術の修得度」との関係を重回帰分析した。 調査対象者を機械器具製造業で金属工作機械操作,金属プレス,鉄工,製缶,メッキ,金属研磨,溶接,その他金属製造・加工,機械器具組立,機械器具修理,および保全等の職務に従事する社員であって,技能・技術の形成が成長期にあると想定される学卒後就職しておおむね10年から15年経過した管理職を除く中堅社員とした。 調査時期は平成20年6~7月に掛けて高知県内34社の機械器具製造企業を訪問し,調査の趣旨を説明して管理者から要件に該当する社員に手渡しで依頼してもらい,記載した質問票はおのおのに返信用封筒で返送してもらった。 配布部数201部で回答は141部,回収率70.15%であったが,技能・技術の形成が成長期にある経験期間の統一化の観点から7年から18年の中堅の社員のデータに絞込み,104サンプルを分析対象とした。回答者の属性は「工業高校卒業者」が最も多く全体の46.2%を占め,次いで工科系短大卒業者(職能短大含む)16.4%,工業高校以外の高校卒業者が技能と技術

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