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3.就職に向けた課題と指導法,社会保険などの専門学科と専攻実技を学び,専門性を高めている。なかでも,オフィースワークコースでは,ビジネスソフトを活用した技能習得と事務作業に重点を置いた訓練内容が特徴的である。 訓練生は,就職を目指し,訓練期間中は訓練に励んできた。そして,希望の企業に就職できたが,センターで習得した知識・技能を新しい職場で生かしきれずに,悩む修了生がいる。 就職後,修了生のフォローアップのため事業所訪問をした際,厳しい評価を叩きつけられることがある。他の障害者訓練施設でも事業所訪問をされた際,次のような厳しい同様の指摘をいただいた経験はないだろうか。・技能より職場生活面が何とかならないか。・訓練でパソコンの資格を取りながら,なぜ仕事で使えない。何の訓練をやってきたのか。・能力が低いので,簡易・単純作業しかさせられない。・職場として,ふさわしい言葉づかいができていない。など。 上記の指摘事項からわかる課題は,次のことが想定される。・事業所が期待した仕上がり像まで,修了生が技能修得できていない。・訓練生が思っていた仕事内容と違う仕事・作業をさせられた。・訓練生のビジネスマナーが不足している。など。 これらの課題に対する要因を探ると,次のようなことが考えられる。・訓練期間中に,障害の種類やその程度に合わせた訓練計画が適切に準備されていなかった。・採用に当たって,事業所側が訓練生の障害の程度や仕事の能力を把握しきれないまま採用した。・訓練生は就職後,どんな仕事・どんな能力が求め2られるか,わからないまま就職した。・訓練生の職業生活に対する甘さ。・訓練期間中に,適切な就職指導が実施されなかった。など。 新入社員にとって,一般に入社後1~2年間は職場に慣れるまで,戸惑いや疑問などを抱いている。そんな戸惑いや疑問には,次のようなことがあげられる。・会社が何をしているのか。・上司が何を言っているのかわからない。・何のためにそのデータを入力するのかわからない。・質問をしたいが,上司や周囲の人たちは忙しそうだし,緊張してなかなか話しかけにくい。・話しかけるタイミングがわからない。など。 上述の修了生の感想を見ると,次のような課題が想定できる。・就職活動でどのような製品を取り扱っている企業であるか,どんな組織であるかなど,企業調査を十分に行っていない。・仕事内容を十分把握していない。・訓練期間中に習得した技能を応用した経験がない。・仲間とのコミュニケーション,職場内の雰囲気に慣れていない。など。 これらの課題については,入社後の実務の経験を積み重ねることで,克服していける項目もあるが,訓練在籍中から企業実習制度等を活用し職場適応訓練を行うことも考えられる。 各施設では,訓練生が理解しやすく,訓練効果を向上させるため,市販教材や手作りの創意工夫された教材,補助教材など,多岐にわたり活用されている。オフィースワークコースで実施しているコン技能と技術⑴ 事業所から見た訓練課題と要因⑵ 修了生からみた課題と要因⑶ 応用と適切な指導

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