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3.試験方法%%%%%%価している。離型剤の性状による分類としては,水性,油性に分かれるが,一般的に鉱物油を主原料とする油性離型剤が多く使用されている6,7)。また,離型機構としては,物理皮膜型と化学反応型に分類できる。物理皮膜型は型枠表面に型枠に強固な塗膜を形成することで付着を防止する。一方,化学反応型は,コンクリートのアルカリ成分により,離型剤に含まれる油脂とセメントのカルシウム分が反応し撥水性のカルシウム石鹸を形成し,その面が剥離する6)。本稿で検討を行う廃グリセリンによる離型剤は水性の化学反応型に分類できる。 試験に使用した廃グリセリンは,JOYさあくるでBDF生成時に副生成されたものである。廃グリセリンの分析結果の概要を表1に示す8)。 特徴としては原料が廃食油であり,灰分なども含まれ色は茶褐色である。比較的グリセリン分が少なく,脂肪分が含まれている。触媒として水酸化ナトリウムを使用するので液性はアルカリ性で,常温固体状である。 廃グリセリンの粘度について温度依存性を調べた。グリセリン自体はニュートン流体であり,粘度の測定にはC型回転粘度計を用いた。廃グリセリン分析結果単位25.26.475.62.017.90.020.0110.2440meq/100gmm2/s24800J/gの温度を段階的に上昇させ測定を行った。また,溶媒として精製水を用い,廃グリセリン濃度を変化させ測定を行った。さらに,低温時の固化(高粘度化)防止のためエチレングリコールやイソプロピルアルコールを添加した場合についても測定を行った。エチレングリコールはリサイクル原料を想定し,自動車用クーラントを使用し,イソプロピルアルコールは電子部品洗浄剤廃液を利用した。 離型性はセメントの物理試験方法9)のモルタル供試体を作成する過程で評価を行った。モルタルは,普通ポルトランドセメントを使用し,骨材としてはセメント強さ試験用標準砂(社団法人セメント協会製)を用いた。標準砂とセメントの質量比S/Cは3:1とし,水セメント比W/Cは50%とした。 鋼製のモルタル供試体形成用枠に廃グリセリンを塗布し,モルタルを打設後,恒温恒湿庫で20±1℃,湿度80%RH以上で24時間養生後,脱型し,型枠に付着したモルタルや表面状態により,離型性を目視で評価した。 モルタル表面の着色については,分光測色計を用い測定を行った。脱型直後と室内養生で材齢7日のモルタル供試体について,それぞれ離型面の3点(底面と側面)を測定し評価を行った。 有機物はコンクリート強度の低下を引き起こすことが知られているため10,11),作成した供試体に対し,JISの強さ試験法に基づき9),圧縮試験および曲げ試験を行った。 モルタルと型枠が離型するときの離型荷重の測定を行った。供試体は150mm×150mm,厚さ12mmのコンクリート型枠用合板(コンパネ)に離型剤を塗布し,φ60mm(内径φ56mm),長さ35mmの塩化ビニル管を置き,そこにモルタルを打設しM12の技能と技術3.1 廃グリセリン3.2 粘度表1 廃グリセリンの物性8)項目性状グリセリン分脂肪分灰分メタノール分アルカリ分窒素分硫黄分液性(pH)動粘度(37.78℃)発熱量茶色(軟らかい固体状)243.3 離型性3.4 着色性3.5 強さ試験3.6 離型荷重

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