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2.原理1.はじめに 廃食油をリサイクルするBDF(BioDieselFuel)はディーゼル車に直接給油できるカーボンニュートラルな燃料として注目されている。秋田県北鹿地域においても,米代川流域BDF製造事業連絡協議会が設立され,BDF生成が本格化している。しかし,BDF生成の副生成物である粗製グリセリンのリサイクルについては,さまざまな試みがなされているが,有効な活用法が少ない現状にある。そこで,当校とNPO法人工房JOYさあくる,鹿角衛生協業組合が共同で新たな廃グリセリンの活用法を検討している。すでに,鹿角衛生協業組合においては食物残渣や米糠と混合し堆肥化することが実用化され,ビニールハウス用ストーブの燃料化などの検討が行われている。また,全国的にみれば,重油と混合しボイラーの燃焼1),牛糞に添加し堆肥の発酵促進2),ガス化による水素やエタノールの利用についての研究などが行われている3)。 コンクリート型枠離型剤としての活用は,鹿児島大学の有馬らによりすでに研究がなされている4)。しかし,BDF生成時の製法や触媒の違いにより,廃グリセリンの成分や性状には違いがある。そこで本稿では,大館市でBDFを生成しているNPO法人工房JOYさあくるの廃グリセリンを取り上げ,検討を行ったので,その現状を報告する。 アルカリ触媒法によるBDFの生成は,図1に示す反応となる。廃食油(油脂)にメタノールを加え,アルカリ触媒でエステル交換反応をおこうことで,BDFとグリセリンが生成される。 生成されるグリセリンは,BDF生成量の1割程度である。アルカリ触媒として水酸化ナトリウムを使用するとグリセリンは常温で固体状となる。また,触媒に水酸化カリウムを使用すると常温で液体状となることが知られている5)。 コンクリート型枠離型剤はコンクリートと型枠との付着を防止し,脱型を容易にするためのものであり,コンクリート表面の着色や表面仕上げに支障がないことが要求される。また,鋼製型枠に対しては防食性も必要となる。コンクリート型枠離型剤はJISによる規格がなく,各メーカが独自に性能を評232.1 BDFと廃グリセリン2.2 コンクリート型枠離型剤図1 BDF・グリセリン反応式東北職業能力開発大学校附属秋田職業能力開発短期大学校三浦  誠・鎌田 萌人2/2010-コンクリート型枠離型剤の検討実践報告秋田県北地域におけるBDF副生成グリセリンの活用

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