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7.おわりにりないためです(何かに夢中になっていてこちらに注目してくれない場合には,本人の見ている所にこちらの手をかざすとこちらを向いてくれます)。光で合図するのは人間的でないような感じもします。したがって,もし回転灯などを使用するなら,「定時に鳴るチャイムと同期している」,「危険をしらせるブザーとともに点灯する」,など,音で知らせる器具と連動しているのが良いと思います。 筆談では,磁石式のものを使用しています。私の場合,紙に筆談した後の書き終わったものの処理や保管が気になります。会話と同様に,話が終われば消えるので,気軽に使用できるように感じています。 手話通訳者がいれば雑談の中で,生徒の訓練以外の生活について近況が聞け,こちらも細々とした生活上のアドバイスができました。聴覚障がいの生徒にとって,手話は感情も込めやすい,自然なコミュニケーション方法だと感じています。しかし,入校を希望する方への説明会などで,手話がわからない聴覚障がい者もいることを知り,聴覚障がい者への情報の伝え方については,さまざまな工夫が必要だと感じています。 今回,この原稿を作成のために専任手話通訳者や時間雇用の手話通訳者への取材を通じ,手話通訳者から,「雑談で入る情報が,聴覚障がいの生徒には入っていないので,細かいことと思うようなことでも,教えてあげなければいけない場合がある。」と教えていただきました。手話通訳が見やすいように最前列に座らせていた聴覚障がいの生徒が,「起立」「礼」などのタイミングがわからずまごついていたこともありました。生徒の雑談を板書で伝えると,笑ってくれたこともありました。 聴覚障がいの生徒に伝えなければいけない情報は,訓練内容以外にもたくさんあることを心にとどめて,これからも情報が届きやすくなる工夫を重ねて,聴覚障がい者への就職支援に取り組んでいきたいと思います。技能と技術写真4 簡易筆談器 KakiPon(株式会社ワールドパイオニア製)16

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