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6.訓練の課題7.まとめ8.おわりに行えば,支援に当たる職員が引率して仕事の見学に行くパターンが多い。面接だけを受けに行った場合でも,体験実習をお願いして企業側の受入が可能な場合は,訓練生の体験実習が1週間から2週間組まれ企業側は仕事ぶりを観察できる。それでも採用になるとは限らない。 1週間の訓練を振り返り,訓練生ができたこととできなかったことを指導員とマンツーマンで話し合う,“原因対策”を実行してきた。できなかった原因をもとに,次週の目標をたてて,訓練生の就労意識を高める効果を狙った。ここでは,訓練生のみならず,指導に当たる職員も訓練内容を振り返り,成果を上げたかどうか確認できる場である。 “緩やかに成長する”といわれる知的障害者に対して,1年間という限られた時間内に,訓練で習得した技術を生かして就職するというのは大変難しく,就職意欲を高めることで就職に至ったケースが多い。企業には難しい場合は福祉的見守りがある“作業所”へということにもなる。 最近は,企業内に障害者向け指導員を置き,知的障害者が安心して仕事ができるようにサポートする体制を有する事業所もある。トライアル雇用で就職した場合でもジョブコーチ支援を必要とするケースが多い。 総合実務科としての取り組みは19年度から,就職が決まったら,地域の働き暮らし応援センターにつなげていくことを実践している。定着にむけての支援は地域の支援機関との連携,就職先との連携にある。 1年間の障害者職業訓練では,早い時期から訓練生の特性を把握して,個別に対応した適正な訓練が2/2010必要であると考える。難しい内容に取り組む必要はなく,簡単な作業であっても持続して正確な結果を出せること,能率良く作業ができること,安全面への意識が高いこと,そしてきちんと報告ができることが大事だ。 汎用性のある訓練内容として何が一番適当なのか今でも模索・検討中ではあるが,何を訓練内容にしても,その受講態度が評価されることを訓練生には理解して貰い,良好な作業態度を身につけるための対策が肝心ではないかと思う。多様なケースから学ぶ精神を持って取り組むことが,この訓練業務において最大のサービスとなり,また訓練生たちにとっては最大の利益となり得る。 時代は今,地域生活支援事業や権利擁護事業の取り組みも進められ,福祉活動の発展も多様化している。しかし,長期経済不況による雇用の低下で,将来に不安を抱えて暮らすのは障害者ばかりではない。今後はますます地域ぐるみで雇用に対する対策・取り組みが実施されるだろう。職業訓練校はこうしたニーズに応えて,さらに熟練した指導者を活用するとともに,育成していかなければならないのではないかと考える。そのためのシステムも確立されるべきである。 私個人は,現場で訓練生から学ぶことをさらに深く考察するために,自己啓発で,通信制の大学を利用して,障害者福祉論や地域福祉論,障害児教育指導法,発達障害児の心理などについて学んだ。これらの学習が仕事に役だったことはいうまでもない。11

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