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6.おわりに図12 シティ中心のソカロにあるカテドラル1/2010図13 日墨交流400周年記念パレード<関連ホームページ>ある。それに加えて,政府が税率を引き上げたため,ますます治安が悪くなっているとのことであった。特にメキシコシティでは,地方からの失業者が,職を求めてシティにやって来るが,実際は,期待していたような仕事はなく,食に困り犯罪に手を染めるケースが増えているとのことであった。今回,メキシコ滞在中の1ヵ月ちょっとの間に,あるC/Pの息子が,バスから降りた瞬間に拳銃強盗にあって,持っている物をすべて奪われてしまった。また,別のC/Pの娘が,短期誘拐に遭い,クレジットカードの限度額一杯現金を引き出すよう強要され奪われた事件などが起こった。滞在中ではないが,過去の邦人の被害もいろいろと聞いた。幸いにも筆者は,滞在中,特に危険な目に遭うことはなかった。唯一,休日にスーパーマーケットに買い物に行った帰りに,「メキシコに観光に来たアメリカ人だけど,お金をすべて盗まれてしまった。家族に連絡をして,お金を振り込んでもらうから,貴方の銀行口座をお金の受け取りに貸してほしい」という詐欺師に声をかけられたが,事前にきちんと情報を収集し,知識として持っていたので,何も被害に遭うことはなかった。今回特に何も危険な目に遭わなかったということは,やはり「やってはいけない」「行ってはいけない」を厳守することが知らない土地で生活をするうえで一番大切なことだと改めて実感した。 メキシコシティは,アステカ時代からの多くの歴史的建造物が世界遺産として登録されているすばらしい街である。多くの人が不況の影響を受けているであろうが,陽気に生活をしている。貧富の差が激CNADhttp://www.cnad.edu.mx/しく,世界一の富豪はメキシコ人であるが,その一方で,路上で信号待ちの車の運転手相手に飲料やお菓子,窓ガラスの清掃などを売って生活費を稼いでいる人がたくさんいるのも事実である。一部の人の悪事のせいで,メキシコの治安が悪いと噂され,観光客が減っているとのことである。一日も早く景気が回復し,治安が良くなり,より多くの人に,このすばらしい国を体験してもらいたいと願ってやまない。 筆者が二度目に赴任した2009年は,日本とメキシコの交流が始まってちょうど400年に当たる両国にとって記念すべき年であった。また,CNAD開設15周年ならびに第三国研修第10期生修了といろいろと記念の年でもあった。11月21日に,金色に輝くアンヘルの像があるレフォルマ通りで行われた日墨交流400周年記念のパレードは,日本からも多くの団体が参加して開催された壮大なものだった。このような節目のタイミングで,メキシコに赴任し,ほんのわずかであるが,短期専門家としてメキシコ国に協力できたことをうれしく思う。 最後に,今回の派遣に関して多大なるご協力とご理解を賜りました関係者各位に感謝申し上げます。47

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