1/2010
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5.メキシコの人々について4.5 業務を終えて図8 マイクロマウスの最終調整1/2010が,最後は少々強引に帳尻を合わせたような形となってしまった。マイクロマウスの製作においては,ハンダ付けなどの実作業を行っていただいたが,思っていた以上に各作業に時間がかかってしまった。そのため,ハードウェア製作後のプログラミングの時間にしわ寄せがいった形となってしまった。理由としては,C/Pの個々人の技術レベルを全く把握できていなかった点である。これは,始めて会う方々に対してなので仕方ないことでもある。また,C/Pとの事前の打ち合わせで各作業を説明し,おおよその必要作業時間についてお互いに確認を行ったのだが,C/P自身も作業内容と作業量,自分の力量についてきちんと理解していなかったようで,自分たちの力量よりはるかに短い予定を組んでしまったことも原因として上げられる。 今回の派遣では,筆者自身も学ぶことが多くあった。CNADは,以前に一度赴任したことのある施設であったため,何となく施設の規模や設備,行っている内容を知っていた。そのため,それを過信しすぎてしまったが故の失敗が,今回得た一番の教訓である。抵抗1本,ダイオード1本ですら予備も含めてきっちり準備をしていかなくてはならない。「このくらいあるだろう」という先入観は,実際は全く通用しない。相手国施設には何もないというくらいの気持ちできっちりと準備をしなくてはならないことを痛感させられた。例えば,マイクロマウスを製作するための部品を出国前に準備し,持参していったのだが,製作を始めてみるとコンデンサが数個,抵抗が数本足りないことがわかった。これは,前述したとおり,筆者が「このくらいあるだろう」という気持ちで大雑把に準備をしてしまったのが原因である。残念ながらCNADには期待をしていた部品がなく,CNADの事務の方に,約30km離れたシティの中心部まで部品を買いに行ってもらうことになり,大変迷惑をかけてしまった。 実際に技術移転に参加していただいたC/Pの皆さんは,非常にまじめに受講していただいた。一昨年赴任させていただいた際にいろいろとお世話になったC/Pも一緒に受講していたのもあると思うが,比較的早い時期にC/Pの皆さんと信頼関係を築くことができたのが,一番の要因だと思う。今回技術移転内容として準備をし,行った内容は,5週間という限られた期間では少々ボリュームが多すぎたようであった。「時間が余るよりは……」とC/Pの方々のレベルを知らぬ状態で多くの内容の準備を行ったのが原因ではある。しかし,もし早くに技術移転の全内容を終えてしまい,時間が余ってしまった際のことを考えると,少し時間が足らないくらいのボリュームを準備していったことは正解であったように思う。先にも書いたように,研修に参加したC/Pの皆さんは,一生懸命に受講していただけた。休憩をしようというこちらの提案もなかなか受け入れてもらえず,最終日の最後の最後まで,時には,昼休みを返上してまで課題に取り組んでいただくことができた。筆者は,食あたりで体調を崩し,一日欠席をしてしまった。その間も自分たちでできることを見つけ,作業を行ってくれていた。 「お前,週末は何してる?」いろんな人から何十回と聞かれた質問である。「いや,特に予定は……」と答えると,「よしわかった。じゃぁ○○に行こう。45

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