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1.はじめに2.キャラクター商品について港湾職業能力開発短期大学校横浜校西口美津子・足立香名子2.1 キャラクター商品とは2.2 キャラクター商法 近年,知的財産についての関心が高まっている。日常生活においても頻繁に「著作権」や「違法コピー」といった言葉を耳にするようになった。キャラクター商品についても許可なく模倣され,税関で摘発される事件が後を絶たない。 「キャラクター立国」として世界各国から評価され,今や日本の産業を支える重要なパートナーともいえるキャラクターの秘めた可能性を世界に発信してゆくに当たって,最大の敵ともいえる「模倣品」とどのように付き合ってゆくべきか。そもそも知的財産とは何なのか。自らキャラクターを考案,権利を取得する手続きを行うことを通して,キャラクター商品の知的財産についての考察を行うことにした。 キャラクターとは,空想上の登場人物を総称したものをいう。日本でキャラクターという言葉が使われるようになったのは,1950年代以降といわれているが,アメリカでは,1920年代以降,ディズニーの「ミッキーマウス」あるいは「ポパイ」などのアニメーション映画がヒットし,これらの人気に着目した人たちによって,その主人公がさまざまな商品に1/2010使われるようになったことに由来する。 当時,こうした主人公は商品化に当たって,「空想の登場人物(FancifulCharacters)」と呼ばれ,それが日本に入ってきたが,適当な日本語訳が見つからず,「キャラクター」として定着したといわれている(1)。 バンダイキャラクター研究所が2000年に行った調査によると,小学生から60歳代までの日本人のうち,何らかのキャラクター商品を所有している人の割合は83.9%,また好きなキャラクターがあると回答した人の割合は87.0%に達する。特に子どもの好きなキャラクターについては,図1に示すように「それいけ!アンパンマン」が第一位であり,アニメや漫画に登場するキャラクターが並んでいる。 キャラクターは人々に広く愛されるがために,ビジネスとしても成り立つことになる。それが,キャラクター商品が生成してくる背景としてあるのだが,ここでは特に玩具を例にしてその現状を述べる。全世界の玩具の8割は中国で生産されている。以前は香港が生産基地だったが,人件費の高騰とともに,工場のほとんどは珠江デルタ地帯へと移転した。 日本の玩具メーカも,製品の7~8割を中国で委託製造している。中国は大きな市場であるが,まだ,市場レベルが日本製品の販売価格で売れる段階には至っていない。現在,北京,上海,香港など高33調査研究報告キャラクター商品の知的財産に関する一考察

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