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1.はじめに2.間伐材について近畿職業能力開発大学校 建築施工システム技術科古本 勝則・望月 孝則1/20103特集 応用課程の建設施工システム技術科における「総合施工・施工管理課題実習(開発課題)」26単位と「応用課題実習」12単位において,平成20年度に取り組んだ「間伐材を用いたログハウスの開発」について紹介する。 建築施工システム技術科の開発課題のテーマ設定は,学生自らがテーマ設定とグループ設定を行い,教職員がその内容を検討して,指導できるかどうかで決定している。しかし,具体性や予算等の問題もあり,学生側の提案をそのまま実施することは難しいことがある。 本報告の「間伐材を用いたログハウスの開発」は,和歌山県中小企業団体中央会からの紹介で,「すさみトライ・ウッド協同組合」から小規模ログハウスの施工法開発についての依頼があり,内容的に開発課題に相応しいと思われ,学生に提案して実施することとした。 このログハウスは,紀州産の間伐材の利用促進を目的として開発されたものであり,すでに和歌山市磯ノ浦の海水浴場の「海の家」や上富田町の「簡易郵便局」などの実績がある。さらなる間伐材の利用促進とログハウスの普及を行うためには,建築確認の不要な10m2以下の倉庫などを素人が日曜大工程度の技術で建てることができる施工法の改良や施工手順のマニュアル化などが必要である。デザインのバリエーションの検討も依頼されたが,本年度はこの工法の理解と施工法の改良に重点を置くこととした。そこで,現地視察により施工法の把握し,実際に施工することで安全でかつ簡単な施工法のマニュアルを提案することにした。 「応用課題実習」では,構造耐力を壁倍率として評価することで,耐震性能について検討を加えることとした。また「建築生産環境論」2単位において,地球環境問題・CO2排出・建設物副産物・産業廃棄物などについて学習しており,産業廃棄物処理場見学を通して,建築生産と環境問題についての高揚を図っている。 樹木は太陽の光を葉に受けることで成長し,その木の成長によってCO2を固定し,O2を供給する。ところが,木の成長に伴い密集しすぎると,繁茂した木の葉によって日光がさえぎられ下草が育たなくなる。すると地表が荒れて土がやせ,木が育たなくなる。豊かな森林を育てるためには間引き(間伐)をして,太陽の光をあてることが重要である。 間伐材利用は,その対費用効果から伐採されてもほとんど利用されず,朽ち果てるまで山に放置されているのが現状である。木材需要の低迷等から間伐が円滑に利用されないため土壌が流出しやすく,気象災害を受けやすい過密化した森林も多くなり健全な森林の育成が大きな課題となっている。また現在,大きな問題とされている地球環境問題について,森林資源はCO2排出ガスを吸収固定化する機能17新技術・新産業にかかる職業訓練の現状について― 環境にやさしいエコマテリアルの利用 ―間伐材を用いたログハウスの開発

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