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6.結論5.今後に向けてとする),金型工作法の20Hである。実技に関しては,機械加工実習の16H,精密加工実習の16Hを,機械プレス・射出成形機の取扱いおよびワイヤーカット放電加工機・研削盤取扱いとして地元企業の従業員を講師として行っている。インターンシップ(職場実習)に関しては,地元企業の協力を得て,当該年度の7月と1月に80H行っている。このことから,総訓練時間(1,560H)に対する,外部講師に依存する割合は12%程度(184H)となっている。外部講師(地元企業との連携)に依存している割合が低いわけではないが,この割合を高めることによって,今以上に「地元企業から理解される訓練施設」を構築できると感じている。 就職採用試験の時期に関しては,宮古管内企業では当校の金型技術科に所属している学生は基本的に高校卒業見込み者と同時期に扱ってもらっているのが現状であり,その採用試験は9月から10月に大部分が実施されている。 さらに,学生募集に関しては,10月,11月に推薦入試および一般入試を実施している。 「有能な人材の確保と育成」というスローガンのもと訓練を行い,平成21年度で金型技術科開設から3年を経た。開設年度である平成19年度は訓練生全員が宮古管内企業への就職を果たすことができた。しかし,平成20年度下期に発生した「世界同時不況」により,宮古管内の金型産業も大きなダメージを受け,企業の採用意欲も減少している。その影響もあり,訓練を受けた訓練生の就職も非常に厳しいものとなっている。宮古管内企業へ就職させるためには,「単に金型技術科で訓練を受けただけ」では受容されなくなっており,「訓練を受けた訓練生がどれだけ企業に貢献できるか」という観点をも重視されてきている。つまり,採用試験が開始される9月までの期間(入校時点から4ヵ月から6ヵ月間)に「訓練生の職業能力の伸長度が高いこと」や「職業能力を定着させているか」が重要であり,その能力が訓練を受けていない者よりも相対的もしくは絶対的に「高い」と評価してもらうことが重要となっている。5/20091)岩手県立宮古高等技術専門校,平成21年業務概要,平成21年2)岩手県立宮古高等技術専門校,宮古高等技術専門校金型技術科学生募集広告,平成18年 このような評価を得るためには「訓練の質」を高めていく必要があると考えられる。「訓練の質」を高める手段としては,⑴現状よりもさらに技能検定制度を利用した訓練を付加すること,⑵企業との密な関係を構築していく方法などがあると考えられる。⑵の実施手段としては,企業の個別課題を訓練内容に反映させることも考慮していく必要があると考えられる。そして,3節での企業アンケートを再度精査し,現状の訓練の中に数多くの項目を反映させることが重要であると考える。 また,開校以来,各関係機関・企業の努力と援助により定員を確保できているが,定員確保をより確かなものとするために,高等教育機関への理解を促進していく努力を現在よりも多くの時間を費やしていく必要があると考えている。 地元企業の要望により金型技術科が開設され,3年を経た。本稿で「金型技術科の開設と運営」を述べてきた結果,以下のことを確認することができた。⑴ 金型技術科は地元要望によるものであり,開設には2年を要した⑵ 企業ニーズに対応したカリキュラムを編成し,地元企業の協力を得て外部講師を活用した訓練を行っている⑶ 金型技術科ではプレスおよび射出成形型を製作し,それに関連する技術・技能を習得している⑷ 今後,訓練の質を高めるためには「現状よりもさらに技能検定制度の活用すること」と「地元企業の個別課題の対応」が考えられる 最後に,本稿作成に当たり,各種資料と実習課題を提供していただいた宮古高等技術専門校三浦公嗣校長補佐,伊藤繁雄講師,金型技術科平成19年度・平成20年度修了生および宮古高等技術専門校職員各位にこの場を借りて御礼申し上げます。5<参考文献>

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