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2.雇用・能力開発機構における国際協力業務1.はじめにの始まり独立行政法人雇用・能力開発機構 企画部企画課木山 弘章32海外情報 厚生労働省では,保健医療,水道,社会福祉,雇用環境整備,職業能力開発の各分野において,わが国の知識・経験をいかして,WHO,ILOをはじめとする国際機関等を通じ,また外務省や国際協力機構(以下「JICA」という。)と協力して,ワークショップ開催,専門家派遣,研修員受入れなどの技術協力を行い,開発途上国の人づくり,制度づくりに貢献している1)。 その中で雇用・能力開発機構(以下「EHDO」という。)は,その前身である雇用促進事業団(以下「EPC」という。)が設立されて間もない1961年から約50年にわたり,技術専門家の海外派遣や海外の研修員を国内の職業訓練施設への受入等,厚生労働省が行う職業能力開発分野の国際協力の一端を担ってきた。 最も盛んであったのは1994年から2000年頃である。ODA(政府開発援助)の技術協力によるものだけで長期(派遣期間1年以上)専門家と短期(派遣期間1年未満)専門家と調査団員を併せて年間90人以上を海外へ派遣し,150名以上の技術研修員を国内施設に受け入れていたこともあったが,ここ数年は,1年間で短期専門家と調査団員を含めて10名程度派遣し,技術研修員(視察型を除く)を20~30名程度受け入れるにとどまっている。 本稿では,これまでのEHDOの職業能力開発分野の国際協力業務について紹介し,最近の技術専門家派遣の傾向についてみることにする。 わが国の政府ベースによる海外技術協力は,1954年の「コロンボ計画」への加入により本格的に開始された。 コロンボ計画における職業能力開発(職業訓練)分野の海外技術協力は,1960年から始まり,海外からの研修員の受け入れとして「職業訓練管理セミナー」や「監督訓練指導者コース」などを開始し,1961年には,EPCから4名の職員をインドの西ベンガル技術センターに長期専門家として派遣した。さらに1962年から「中近東・アフリカ計画」,「中南米計画」などにおける「監督者訓練コース」「職業訓練コース」などが始まり本格化してきた2)。 また,1963年には,中央職業訓練所(現在の職業能力開発総合大学校)に国際協力部が設置され,海外技術協力事業団(現在のJICA)や都道府県の職業訓練所と連携しながら,国際協力部が中心になって各国からの研修員受け入れ業務の活動が本格的に開始された。技能と技術独立行政法人雇用・能力開発機構における国際協力業務について

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