4/2009
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り曲げたりしなければならない。どの順番でどの部位をどう変形させて,何回で加工を完了するかを決める設計行為 ③ 構造設計;加工レイアウト設計に示されるプレス加工を実現する金型構造設計行為 以上3つのプロセスをソフト化し,それぞれの設計作業のリードタイムを短縮した。開発ソフト名と開発プロセスの概要は以下のとおりである。 ちなみに,当社の社是が「Fanを創る」であることから,開発ソフト名の頭にはFan-を付けた。 図1に示す金型設計手順の中の第1ステップがデータ整備である。金型設計・製作に適した形にデータを整備するためには,面張りやフィレット付け作業が必要で,大変時間がかかる。これらの作業をソフト化するに当たっては,熟練CADオペレーターの作業手順を聞き取り,非熟練者との作業との相違点を分析し,最も合理的な手順をソフト化した。特にフィレット付けにおいては上手,下手の差が明確で,下手な作業では処理時間がべらぼうにかかったり,設計者の意図と違う形状になる場合があった。Fan-Modelerは上手な手順を集めて成り立たせたナレッジベースのソフトである。 現在では客先データがCATIA化され,面を張ったソリッドデータが支給されるようになったが,金型製作に最適な形にデータを整備する行為は未だに必要であり,そのためにFan-Modelerは有効に活用されている。Fan-Modelerは汎用CADの5倍のスピードでデータ処理できる。 Fan-Modelerは㈱エリジオン*2と共同開発したソフトである。 図1に示す金型設計手順の中の第2ステップ,加工レイアウト設計は金型設計の要である。レイアウト設計の上手下手は金型の製作納期,コストをほぼ決定するうえに,プレス加工の生産性や材料歩留まりをも左右する。小物プレス部品は形状種が多岐にわたり定型的な加工レイアウトが成り立たない。製品形状ごとに最適な加工レイアウトを考案するには高度な知識や経験を必要とし,未だ熟練者に限定された暗黙知である。 図2は熟練設計者が左上の新製品の加工レイアウトを考案するプロセスを示す。設計者A君は新製品形状を確認し,過去に設計した製品群から類似のものを思い出す。類似の製品さえ思い出せば,キャビネットには成功した加工レイアウトや成形上のポイントを記したトライ報告書が保存されているので,それらを参照して新製品の加工レイアウトを創出す32.3.1 データ整備ソフト Fan-Modelerの開発図1 金型設計製作手順4/20092.3.2 加工レイアウト設計支援ソフト図2 熟練者による加工レイアウト設計手順Fan-Layoutの開発

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