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650点といわれる。部品サイズで大物,中物,小物に分類すると表1のとおりで,当社の事業は小物を対象としている。 小物プレス部品のビジネス環境は以下のとおりである。 ① 部品種が多い ② 設計変更(設変)が多い ③ 開発タイミングが最後になるので生準期間が更に短い ④ 形状種が多岐にわたり加工工程(レイアウト)が非定型的であるため,金型設計は熟練設計者に頼らざるを得ない 前述①~④の課題克服には「構造が簡単で作りやすく,設変対応が楽な金型」と「金型の段取り替えが容易で,生産性の高いプレス機」が必要となる。 当社は「構造が簡単で作りやすく,設変対応が楽な金型」を,ダイセットを共用した写真1のカセット金型を採用することで実現した。工程ごとの単発型であるから,金型構造が簡素化でき,サイズと構造の標準化が達成できた。さらに,送り線高さや送りピッチなど前後工程との関係に順送金型ほどは高い精度が要求されないから,設変時の金型修正も容易である。 写真2が「金型の段取り替えが容易で,生産性の高いプレス機」である。工程数4~5の金型をカセット式に搭載できる共用のダイセットと工程間のワークを高速に搬送する装置(1998年特許取得)を装着した高木高速搬送プレス機である。当プレス機の特徴は,3分以内に金型段取りが可能であることと,自動プレスに遜色のないSPM35~60で運転することである。 以上必要な道具の開発,すなわちハード面での環境整備は2000年までに完了させた。 「構造が簡単で作りやすく,設変対応が楽な金型」を,カセット金型を採用することで実現し,金型構造の簡素化とサイズの標準化が達成したのだから,次に試すことは金型設計のシステム(IT)化である。 システム化の目標は前述の④「形状種が多岐にわたり加工工程が非定型的であるため,金型設計を熟練設計者に頼らざるを得ない」という課題を解決するとともに,「従来の金型設計製作納期24日を9日に短縮する」とした。 金型設計のプロセスは大きく以下の3プロセスに区分される。 ① データ整備;お客様の形状情報(3Dデータ)を金型製作に最適な形に整備する行為 ② 加工レイアウト設計;プレス加工で最終製品形状を得るには平板を,何回か抜いたり叩いた技能と技術2.2 ハードの環境整備写真1 ダイセット共用カセット型22.3 システム(IT)化写真2 高木高速搬送プレス機

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