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この人のことば 世界的規模での不況の到来,雇用失業情勢の悪化,新型インフルエンザの流行などわが国を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。 また,近年,製品の高付加価値化が叫ばれ,産業構造の変化,技術革新が進んできており,一方では,地球温暖化,産業の空洞化,少子高齢化,技能の継承などが社会問題化するなかで,技能や技術,ものづくり,職業能力開発を取り巻く環境も,急速に変化しつつあります。 日本社会全体が,「過渡期」を迎えているのではないか,一歩進んで「過渡期」の真っ只中にいるのではないかとの思いを強くしています。 「過渡期」とは,辞書によると「古いものから新しいものへと変わっていく途中の時期」と定義されています。 職業能力開発についても,昨年末に閣議決定された「雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)の廃止について」の中で,職業能力開発総合大学校(以下「職業大」という。)を始めポリテクカレッジ,ポリテクセンター等の見直しが決定され,国から地方へ,官から民への流れが加速されるとともに,運営内容の見直しも行われることになっており,近年導入された日本版デュアルシステム訓練,ジョブ・カード制度等とあいまって,まさに職業能力開発のシステムが「過渡期」にあるといえるのではないかと思います。 一方,機構においては,職業能力開発の品質管理のため,ここ数年,プロセス管理を実施してきており,P(Plan計画),D(Do実行),C(Check評価),A(Action改善)サイクルへの取り組みにより,職業能力開発サービスの品質向上に努めてきています。 不況のなか,職業訓練・職業能力開発の重要性が再認識されてきており,また,このような過渡期に3/2009あってこそ,私ども能力開発研究センターは,機構および職業大の一機関として,調査研究など各種事業を通じて,より一層職業能力開発サービスの品質向上に寄与していかなければならないと決意を新たにしているところです。 さらに最近では,人材育成サービスの国際標準化の動きも出てきており,これに対しても貢献していく必要があると考えています。 何はともあれ,技能・技術の発展や職業訓練・職業能力開発の向上のため,ひいてはわが国の発展のためたゆまぬ努力を続けていく必要があると感じています。 このような情勢のなか,本誌「技能と技術」が,印刷物から電子書籍として生まれ変わることになり,電子書籍「技能と技術」の第1号が,発刊される運びになりました。 これも紙媒体から電子媒体への移行という情報伝達の手段が変化する「過渡期」の1つの事例ではないかと思っています。 とりとめもないことを書きましたが,職業能力開発を取り巻く環境や「技能と技術」の置かれている環境が「過渡期」にあることを認識しながら,今後とも,よりよい誌面作りに努め,技能・技術の発展,職業能力開発のさらなる向上のため少しでもお役に立てればと,能力開発研究センター職員一同願っています。 引き続き皆さんのご寄稿・ご愛読を願ってやみません。かわむら えいじ略歴昭和51年 雇用促進事業団採用平成11年 宮崎雇用促進センター所長平成12年 雇用・能力開発機構 雇用創出課長平成14年 雇用・能力開発機構 センター指導課長平成16年 (独)雇用・能力開発機構 職業能力開発指導部次長平成17年 (独)雇用・能力開発機構 雇用促進部次長平成18年 (独)雇用・能力開発機構 広島センター統括所長平成21年4月より現職1職業能力開発総合大学校 能力開発研究センター 所長川村 英治このの人ことば 「過渡期」

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